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『新版 若手法律家のための法律相談入門』

司法試験の合格発表も終わった
新秋のみぎり、
皆様いかがお過ごしでしょうか。

我が母校のロースクールは
今年は予備試験組と、
京都、東京、慶応、早稲田、一橋、東北を除くと
合格率で全国一位でした。
(新規募集停止してないところで)

合格された方おめでとうございます。
また、惜しくも結果が出せなかった方、
来年に向けて再始動しましょう。

ところで、法律相談って
上の弁護士の相談を横で見て覚え、
自分も見様見真似でやってみて
だんだんと「こういうものか」と覚えていく
というイメージをもたれているように思います。

私も登録後最初の半年は
ボスの法律相談について行っていたわけですが、
この方法だと、相談者の対応や捌き方なんかは
自分が直接見聞きした内容をもとに積み重ねて行くことになるので
上達するにはそれなりの時間がかかってしまいます。

また、いつまでも上にくっついて
相談を傍で見させてもらうというわけにもいきません。
それに、
必ずしも良い指導者に恵まれるとも限らないのです。



私も最初の頃は、
「いい事件がきたら嬉しいな」というよりも
むしろ
「分からないことを訊かれたらどうしよう…」
「受けたくない事件はなんと言って断ろう…」
といった不安ばかりを感じていたように思います。


そういう若手特有の心の重しを取り払えるような本が
一冊くらいあってもいいんじゃないかと思っていました。

ということをずいぶん前、2016年の春に書きました。

今日は、その続きのお話です。


物語の始まり















新版 若手法律家のための法律相談入門

私の最初の単著の最初の改訂版です。

今回の改訂では、以下のような改定を行っています。

■改正債権法、改正相続法に対応
当然のことながら、債権法、相続法の改正内容を反映しています。
なお、旧法に関する記載も、法律相談対応上
必要と思われる限りで、新法下での記載と合わせて
記載しています。

■トピックや期間制限の拡充
【よく聞かれる法律相談のトピックあれこれ】について
旧版(12類型58件)から拡充(18類型106件)しています。

また、相談でときにクリティカルになりがちな
【注意すべき時効・除斥期間・出訴期間その他の制限】
については、
法改正の内容を反映し、
改正で重要性の低下したものを削除し、
新たに新法下で重要となるものを加えています。

■刑事事案に関する章を新設
旧版を手に取っていただいた方から指摘の多かった
刑事案件(刑事弁護、犯罪被害者支援)について
法律相談対応で求められる基礎的・導入的知識を
新章を設けて詳解しています。

■その他の事項の追加
相談技法別の留意点や
セカンドオピニオン時の心得、
緊急性の高い事案の受任を断る際の方策など
直近の実務における問題意識や視点から
新たにいくつかの項目を追加しています。

■さくいんの新設
最も重要な改訂点は
さくいんの追加です。

以上の改訂の結果、イラスト、Tipsも拡充し、ページ数は
旧版の208頁から276頁へとそれなりに大きくなりました。


本書のターゲットは、旧版よりも若干広く、
登録後10年目くらいまでの若手法律家
これから実務に触れる司法修習生を想定していますが、
エクスターンシップや講義で法律相談に出会う
ロースクール生法学部生などにも
法律家が考え実践している法律相談のリアル
感じていただける一冊だと自負しています。


既にAmazon等ネットから予約できるようになっておりますので、
興味を持たれました方は何卒宜しくお願いいたします


ちなみにAmazonでは
旧版(2640円)の新品がなぜか7000円ほどで売られていますが、
おかげでこちらの新版は
2970円と
ひどくお安く感じられます。






なお、地域や店舗によって多少の差はあると思いますが
9月末頃には各書店に行き渡るそうです。




法律相談に関わる全ての人に。





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銃の所持情報の取得について

私人の銃砲所持許可情報の取得について
調べた内容を備忘的に残しておきます。

1 私人の銃砲所持許可について

我が国で私人が適法に銃を所持するには,
住所地を管轄する各都道府県の公安委員会から
銃砲所持の許可(銃刀法4条1項各号)を受けなければなりません。

そこでは銃の所持が許可されうる場合として,
公務等の業務や演芸の公演,
博覧会等での展示,観覧に供する場合といった
特殊なケースも挙げられていますが,
我が国で私人が銃の所持を認められる
もっともポピュラーなケースとしては
①運動競技会の参加選手等としてけん銃,
空気銃を所持する場合
(同法4条1項4号)
そして,
②狩猟,有害鳥獣駆除又は標的射撃のために
猟銃等を所持する場合
(同法4条1項1号)
でしょう。

このうち,やはり数として多いのが
②の狩猟,有害鳥獣駆除,標的射撃のために
散弾銃やライフル銃を所持するケース
です。

警察白書によると,
昭和末期に比べるとかなり数は減っているものの
令和元年時点の許可を受けている銃砲の数は
猟銃で約16万丁あり,
このうちライフル銃が約28,000丁,
それ以外の猟銃(散弾銃)が約132,000丁とされています。

2 銃砲の許可所持者の情報管理について

これらの銃の所持許可がなされた場合,
当然のことながら,許可をした都道府県の公安委員会において,
その許可を受けた者の情報が記録化され管理されています。

ところが,こうして
銃所持許可を得た者の情報は,
一般に公開されていません


銃猟は,ともすれば
金持ちの道楽で楽しみのために野生動物を殺す
といったステレオタイプで捉えられがちですが,
有害鳥獣駆除のために行われることも多く,
人間社会と自然界の境界を拮抗させる
猟圧として機能しています

ひ弱な人間が人に脅威を及ぼすヒグマと対峙するには
ライフル銃が不可欠です。
また,銃猟は近年では
ジビエ(野生肉)獲得の手段としても
益々その重要性が増しています。

ところが,そうした点に馴染みのない
一般人の視点からすると,
「危険な銃器を所持している人物を
なぜ公開しないのか。
それらを用いた犯罪から身を守る方法が
ないではないか」
と感じるかもしれません。

このような措置は,
個人情報保護のためと説明されますが,
実は許可を得て銃を所持している者の情報を
明らかにしない
という点に
より実質的・積極的な理由,主眼があります。

要するに,
許可を得て銃を所持している人の情報について,
これを秘匿することによって生じる不利益と
これを公開することによって生じる不利益とを
衡量・勘案した結果です。


銃砲所持の許可を得るまでには,
講習や実技試験,
認知機能検査(法4条の3)のほか,
身辺調査などかなり厳しいスクリーニングがあり,
例えば,アルコール・薬物の中毒者,住居不定者,
罰金刑以上となる前歴がある者等,
不許可事由がかなり詳細に列挙され(法5条1項各号)
一定のリスクがある人物には所持が許可されない
仕組みになっています。

また,「他人の生命,身体若しくは財産若しくは
公共の安全を害し,又は自殺をするおそれがあると
認めるに足りる相当な理由がある者」も
不許可事由とされています。

すなわち,(一部の例外はあるにせよ)
銃砲所持の許可を得ている時点で,
銃器の所持を認めても危険性の低い人物である
という公的な判断がなされているといえます。

一方で,世の中には
そうしたスクリーニングを受けず
野放しになっている危険人物が一定数おり,
その割合は,許可を得て銃器を所持している者の中の
危険人物の割合よりはやはり高くなります。

そのような社会にいる危険な性向を持つ者が
容易に銃砲を所持している人物の情報を得られたとしたら
その場合に生じる危険は,
銃砲所持者の情報を秘匿することによる
危険の比ではありません。
いかに銃と実包を別々のロッカーで
鍵を掛け分別保管しているとはいえ,
一般私人からそれら銃器を奪い取るのは,
警察官からけん銃を奪い取るよりもたやすいはずです。

このような点を考えると,
やはり,許可を得て銃を所持している人物の情報を
公開することによるデメリットは
無視できない
,ということになりそうです。

銃砲所持の許可申請の際にも,
身辺調査の場面を除いて,
申請者や申請の事実自体の情報の
秘守が徹底されていますが,
これも同様の理由からです。

3 「猟銃所持者の脅威から身を守る方法」?

とはいえ,そうした銃器で
実際に人が殺傷される事件が
社会の中で生じているのも事実であり,
「一部の例外」から身を守る手立てがないか
考えてみたいところです。

(1)行政文書の開示請求(消極)

各都道府県の公安委員会に対し,
行政文書の開示請求手続を行うことによって
許可を得て銃を所持している人物の情報を
取得することが考えられますが,
これは,不開示情報とされる
「特定の個人を識別できる情報(個人情報)」
に当たってしまいます。

そのため,
行政文書開示請求による
許可所持者情報の取得は困難
ということになります。

(2)弁護士法23条の2に基づく照会について(検討の余地あり)

一方,自分の身を守るためであれば,
特定の都道府県下の全ての
許可所持者の情報を得る必要はありません。

自分が現に関わりを持っている特定の人物が
危険な性向をうかがわせている場合,
その人物についてのみ,
銃砲所持の許可がなされているかを
知ることができれば,
それも身を守る手がかりにはなりそうです。



この点,
弁護士法23条の2の照会手続で,
各都道府県の公安委員会に対し,
特定の人物(住所,氏名で特定)について
・銃砲所持許可の事実の有無
・許可がなされている場合その年月日
・現在許可を受けていない場合,
 過去に許可がなされた事実の有無
・許可が取り消された事実の有無
・許可が取り消された事実があるとする場合
 その年月日と理由
等を照会し,一定の回答を得られたケースが
あるようです。
(旧版ですが東京弁護士会調査室
『弁護士会照会制度(第4版)』58頁)

もっとも,これも公安委員会ごとに対応が異なる模様であり,
必ず回答が得られるという保証はありません

特に,事件の相手方からの照会については
回答の一部ないし全部が拒否されるおそれもあります。
(私が兵庫県の公安委員会に問い合わせたところ,
「照会,回答ともに前例はない」とのことでした。)

この手続は,許可所持者であった者が
自らに対する銃砲所持許可取消を争う事案で,
手元に取消通知書等の一次資料がない場合等が
想定されているのかもしれません。

(3)本人に聞いてみる(消極)

いっそのこと,
危険と目される本人に
直接聞いてみるというのもありかもしれません。
とはいえ,
本当のことを話してくれるとは限りませんし,
具体的に危惧が生まれる状況では
そもそも話が通じないケースも多いでしょう。

orenosensoujanai.png

(4)管轄の警察署へ(積極)

最後の手段としては,
警察署に相談するという方策があります。

なお,銃刀法上は,銃砲・刀剣類の所持者が
他人の生命,身体,財産や公共の安全を害し,
または自殺のおそれがあるときには,
所持者と一定の関係にある者が
その旨を管轄の都道府県公安委員会に申し出られる
という制度があります(同法29条1項)。
そして,この申し出があったときには,
公安委員会は,「必要な調査を行い,
当該申出の内容が事実であると認めるときは,
適切な措置を執らなければならない」とされています(同条2項)。

また,申出人の特定に掛かる情報の取扱いは
「慎重を期す」るものとされ,通例,
調査に際し,対象者等に対しては秘匿されます。
これは事案の内容から当然のことであろうと思われます。

なお,法文上は申出の宛先を
「都道府県公安委員会」としていますが,
各県警本部,警察署,交番,駐在所等に対してなされたものであっても,
他の要件を充たす限り,銃刀法29条の申出として
取り扱う運用がなされており,
これらを受けた場合,公安委員会への報告がなされます。)
(「銃砲刀剣類所持等取締法第29条の規定による
申出制度の適正な運用について(通達)」,
警察庁丁保発第45号平成31年3月8日)

もっとも,この「都道府県公安委員会への申出」制度は
①対象者が銃砲・刀剣類の所持者であること
②申出人が対象者の同居する者,付近に居住する者,
 又は勤務先が同じである者であること
の二点が必要とされています。

そのため,単なる事件の相手方に過ぎない者は,
しかも,危険と目される人物が現実に
銃砲所持の許可を得ているかどうかがわからない状況では,
この「申出」制度を利用することができない

ということになりそうです。

とはいえ,概ね,どこの公安委員会においても
以下のとおり,
「この申出制度(法29条1項)に該当しない者からの情報であっても,
銃砲所持者に対する危惧情報については,
所持許可の維持・取消の判断の有用な材料とする」

というスタンスを取っているようです。

「ただし,このような場合
(※申出人が法29条に定める者に当たらない場合)であっても,
銃砲刀剣類所持者の不適格性に関する情報については,
その全てを警察本部の銃砲行政担当部門において集約・整理し,
法第29条の規定による申出に準じ,誠実に処理すること。」
(前掲通達)



また,相手が現に許可を得て
銃砲を所持しているか否かが不明な段階であっても,
その人物の居住する都道府県の公安委員会に対して
上記の懸念を申し出ることが禁じられるわけではありません

(但し,これは一般的な被害相談に限りなく近いものとなるため,
公安委員会によっては,委員会本部ではなく,
管轄の警察署に相談してもらいたいという対応になる模様です。)

そうして公安委員会が得た情報は
現に所持許可がなされている場合であれば,
その取消の判断要素となり得ますし,
また,現に許可がなされていない場合でも,
将来,所持許可を行うか否かの判断要素となります。

いずれにせよ,この方法であれば,
(相手が銃を所持しているか否かは不明なままであるとしても)
被害を避けるために,公安委員会・都道府県警察を通じた
一定の監視・監督の効果は期待できます。

なお,令和元年の
猟銃の所持許可取消しの件数は107丁とされています。
取消事由は多岐にわたるため,必ずしもこの数が
危険人物の銃を取り上げる形でなされたものとはいえませんが,
適切な情報提供によって,
ある程度のコントロールは期待できそうです。

ちなみに,銃砲所持の許可や取消は
公安委員会の合理的裁量によって行われるものとされ,
過去の事例では,例えば,
所持者が
・うつ病及びそううつ症を発症して医師の治療を受けた
・長女の交際相手に「家には銃があるが,
 家に寄っていたら銃を持って
 撃ち殺しているところだ」と威迫し,暴行を加えた
という事案で,所持許可の取消処分を
適法と認めた事案があります。
(東京地判平成30年5月17日・ウエストロージャパン掲載裁判例)




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Livin' On The Edge

雪が降る地域にある事務所は
全てコウセツ事務所。

こんにちは,
ナカムラマコトです。


普段,学生の指導なんかをしておりますとね,
実務や弁護士の生態について
色々とご質問をいただくわけです。

エクスターンや
サマークラークなんかではやっぱり
なかなか実務家の働きぶりっていうのは
分からないからね。

かくいう私もサマクラで何をするのかは
いまいちよく分かっていません。

鎌倉でサマクラとか,
そういうフランクなノリを装いつつ
お互いブラックな環境・レッドな人材ではないかと
虎視眈々と品定めをする機会だったりするのかなと
ひたすら想像するばかりです。



ambitious.png




なお,学生の多くが
知らないみたいなんだけど,
サマクラやスプクラでいう
クラークというのは
事務員,吏員といった意味の"clerk"だそうです。
勉強になりますね。


ここで私は修習前の3日間の事前研修で
コピー機の使い方をたたき込まれたのを
思い出しました。





あと,以前学生さんに訊かれたことで
印象に残ったのが,
やり手の弁護士は勝訴ばっかりなのか
といった質問でした。


実はこうした質問は,これまで
何回か受けたことがあります。





ponponkatana.png




やっぱりね,私もそうでしたが
長く勉強を続けていると
不安になったり
意欲が低下したりとかもあって,
特にコロナ下だとそういう傾向も強くなります。


そういうとき,将来,自分が実務に出て
活躍しているところをイメージしてみるっていうのは
モチベーションを維持する上で
非常に有用だと思うのです。


また,教育機関に研究者だけでなく
実務法曹が教員として置かれているというのは
そういった実際の仕事のあり方や
事務所の労務管理上の悲哀,
税務調査の過酷さなんかを
余すところなく伝えるっていうところにも
主眼があるんだと思うんですよね。


だから,そうした学生さんの
意欲的な質問には
できるだけ誠心誠意回答するように
心がけています。






mineuchi.png







御上(最高裁)の御威光をあんまり顧みず
S説という名刀(妖刀)で
本試験に果敢に切り込もうとする姿勢
に,
どこかしら攘夷派のサムライの趣を
感じずにおれない私ですが,
ここで気になるのが,
一般に言われる「勝訴」「敗訴」が
法曹の考えるそれと微妙に違っていることが多い

という点であります。


やはり,数々の訴訟で華々しく勝訴判決を獲得する
ヤリ手弁護士を扱うドラマなどの影響でしょうか。



ごく簡単に言うとですね,




setsumeiszamurai.png


多分,手形訴訟で認容判決が出て
勝訴だ勝訴だと大騒ぎする人って
あんまりいないと思うんですね。




また,弁護士の取り扱う事件には,
明確な勝ち負けがあるものもあれば,
紛争の形態をとりつつも
実は勝ち負けを観念しがたい
というものもあります。

ただ,勝訴,敗訴という概念が
我々実務法曹にあるとすれば,
それは激しい主張の対立している紛争において,
その争点について,
自分に有利な判断が得られたか否か

ということではないかと思います。

これは,訴額の多寡を問わないので,
たとえ,争われている経済的利益が5万円の
物損事故訴訟であっても,
シビアに事故状況,過失割合が争われている事件だと
勝ち負けというのは判決で明確に表れます。




さて,民事の判決では
多くの場合,代理人は判決言渡期日に出廷しません。
期日後,書記官さんが係属部に
戻ってくる時間を見計らって電話を掛け,
判決の主文を読み上げてもらい,
そこで判決の内容,すなわち勝敗を知ることになります。
私もこれまで18年間で
民事の判決言渡期日に出廷したことは
一度もありません。


訴額が大きかろうが小さかろうが,
この電話で主文を聞く瞬間は
心穏やかでは居られず,
まさに息詰まるひとときです。



この判決言い渡し前後の
断崖に立たされたようなゾクゾクする快感は
正に実務法曹だけに許された
禁断の果実
であると言えましょう。
なお,比較的和解で落ち着くケースも多いのは,
あまり食べ過ぎるとお腹を壊すからです。




さて,実はこの点に関し
一つ気になっていたことがあります。
それは,



total.png





弁護士の多くが,
「自分は勝ちも負けもするが
トータルで見ると,勝ち越している」
という感覚を持っている

ということです。



確かに,受ける事件を
適切に取捨選択していれば,
いわゆる「負けが込む」状況は
ある程度避けられるようにも思われますが,
それにしても,多くの人が
こうした感慨を持っているというのは
非常に興味深いところです。


守秘義務の関係もあって
所詮ウラの取りようもない話であり,
また,勝ち負けは事件の筋にもよるので,
あまりこの点を
突き詰めて考えても詮無いことないのですが。





そして
これは何かに似ているなと思いました。






gambler.png




なぜそう言えるのかって訊いたら
「ワシはちゃんとレースを選んでいる」っていう
答えが返ってくるところとかも特に。




最後に,勝ち負けに関わることで
私が駆け出しの頃に先輩弁護士に言われ,
以来,常に心に置いている言葉を
紹介して終わりたいと思います。




osumousan.png



ここでいう「横綱相撲」というのは,
「横綱にふさわしい堂々とした取り組み」
といった本来的な意味とは少し異なっています。
平たく言うと
「どうにも負けようのない紛争で,
優位に任せて相手を蹴散らす訴訟活動」
程度の意味でしょうか。


こうした状況は,類型的に
勝ち負けの固定されがちな
ある種の紛争に多いのですが,
そのような争いばかりに身を置いていると,
法律家としてのスキルは研かれず
事件のスジだけに任せた
勝負しかできなくなってしまうから
というのですね。

勝とうが負けようが
やはりある程度の真剣勝負をこなすことは
必要だろうと思います。


tsubazeriai.png


ただ,戦う以上,
適切な武器を選ばないといけないわけだから,
学生の諸君はまずは
百選に載っている判例の判断をきっちりと
押さえるところ
から始めてもらえると
嬉しいわけであります。


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『伝えたい、判例の大切さ』

月日は百代の過客にして,
行き交ふ年もまた旅人なり

旅の途中で
旅費をなくしてしまいがちな
弁護士中村真です。



突然ですが,
「判例」とは,
広義には過去に下された裁判をいい,
狭義にはそれらに含まれる原則のうち,
現在拘束力を持つものをいいます。
(有斐閣『法律学小辞典(第5版)』1094頁)。


我々法律家や
法学部生,法科大学院生,
司法修習生は
たくさんの判例に接し,
それらの判旨,とくに
先例的価値を有する
レイシオ・デシデンダイ(ratio decidendi)の
理解と記憶に努めることになります。


では判例ではなく
判例集の重要性というものは
どういうところにあるのでしょうか?



IMG_0262.jpg




IMG_0263.jpg




IMG_0264.jpg




IMG_0265.jpg





おわかりいただけましたでしょうか。



ということで,また本が出ました。

書店用ポスター


『まこつの古今判例集』














簡単に内容を説明すると,

①古今の著名な17の判例について
マンガと文章で
取り上げています。


掲載判例の一例
 『宇奈月温泉事件』
 『たぬき・むじな事件』
 『むささび・もま事件』
 『津地鎮祭事件』
 『ロッキード事件』


②判例集である以上,
判旨や解説は載せていますが,
むしろ具体的事実関係や
事件を取り巻く事情を
多く掬い上げることを
意識して紹介しています。


また,最上級審の判断だけでなく,
できる限りそこに至るまでの
第一,二審の判断や
差し戻し後の帰結についても
触れることを心がけています。

ただし,残念ながら,
準備書面で引用できる部分というのは
皆無です。



zousatu.png

(だめでした。)








「準備書面に引用できる判例本」を
お探しなら、こちらをぜひお勧めいたします。







『判例による不貞慰謝料請求の実務』
シリーズで著名な弁護士中里和伸先生の新刊で
離婚原因に関する主張立証の勘所が
新旧の判例の判断とともに
丁寧に解説されています。

また中里先生のこれまでの
ご著書にも見られるように
離婚制度や近代以後の
離婚原因の規律の変遷のほか、
「デリヘル利用は不貞行為となるか」等、
市民感覚で問題となりやすい事案の
離婚原因該当性なども紹介されており
読み物としての面白さと
実務的マニュアルとしての使い勝手が
かなり高いレベルで調和
しています。


『不貞慰謝料請求の実務』の
愛読者(愛用者)の一人として、
色々な人にお勧めしたい一冊です。





どちらもよろしく(^o^)


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7月のできごと

こんにちは。
ブログの更新はひどく久しぶり。

大切な人に,
音楽家は曲を,
詩人は詩を,
法律家は訴状を贈る
といわれています。


今日私があなたに贈るのは
一つのナゾナゾです。







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みんなはもうわかったかな?









































tanabata06.png


そう,盧溝橋事件だね!












tanabata07.png

1937年(昭和12年)7月7日,午後10時過ぎに
突如として起こったこの両軍の武力衝突の後,
小規模の散発的な戦闘と停戦交渉はあったものの
近衛文麿内閣は華北派兵を決定し,
これが日中戦争の端緒となった。

その後,日本の軍部・政府による
戦時体制化は急速に進められ,
同年の国民精神総動員運動の展開,
翌年(昭和13年)の国家総動員法等を経て
第二次世界大戦に突入していくことになる。














tanabata08.png



世界平和は多くの人の願いだと思うよ。



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【副会長日記】にちべんれんとわたし

会務なんて
いわばエゴとエゴの
シーソーゲーム。



こんにちわ,
副会長まこつです。

気付けば任期もあと4ヶ月。


役員を終えた後を見据えて,さいきん,
いろいろ就職活動に精を出している私ですが,
このあいだある履歴書を書く際に,
日弁連の会務で
これまで何をしてきたかと考えたんですね。




皆無でした。
これは単位会の役員としては
珍しいことです。


「日弁連に関わりがある」ということで
わずかに擦っているのが,
日弁連の広報からお声がけ頂いた
イラストの仕事です。


さて,ここで振り返ってみましょう。
ほかにすることもないから。


①eラーニング無料化の広報イラスト01

nichibenren el02

これは一発目。
全く似ていないとはいえ,
実際の講師をモデルにするなど
内容的に攻めすぎたためか
これは載らなかったかもしれません。

今思えば
「タブレットに鉛筆を持ってるのが
弁護士的でない」
という意見も
あったのかもしれません。







②eラーニング無料化の広報イラスト02

nichibenren el03

これは二発目。

個人的にも,日弁連のeラーニングの
充実度に打ち震えて毎日視聴していたころだったので,
リンゴ,S女子など,個人的な嗜好が反映されていますが
自由奔放な方向性が功を奏したのか
『自由と正義』に載ってたような気がします。



③eラーニング無料化の広報イラスト03

compact.png

これは,
コンパクトシリーズという
忙しい弁護士をターゲットにした企画モノを
アピールする目的で描いたものでしたが,
「弁護士が公図に弱いという
誤った印象を訴えかけてしまう」
という貴重なご意見とともに
日弁連地下13階の大倉庫に安置されることになった
曰く付きのイラストです。

ともあれ,公図のコンパクトシリーズ,
『地図の読み方の基本~ブルーマップ・公図の利用』は
ほんとによく出来ているので,
見てない人は必ず今日中に見てください。





④ eラーニング広報第2弾01




nichibenren el01


これは,経緯はよく覚えていませんが,
eラーニングの広報のために
第2弾をお声がけ頂いた際の一つ目です。

スマホで自撮りした写真を元に
描いたのですが,
思いのほかイヤな顔つきなのが逆にいいと思い,
ゴーサインを出したものです。




⑤ eラーニング広報第2弾02


EL02.png


これは,なんとなく
映画のポスターみたいなのを
作りたいなと思って描いてみたもの。

どれだけ注意しても
S女子が入り込みます。

日弁連の内部で用語や記載について
ある程度整ったレギュレーションがあるようで,
それに従い,アオリ文や台詞についても
一定程度変更がありました。
これはなかなかいい勉強になりました。





⑥ 日弁連ライブ実務研修広報


livealt01.png


これはライブ実務研修の広報です。
全国の単位会で同時に,
同じ講義を聴けるということで
かつてない一体感を感じられる,
んじゃないかと思って描きました。

3人ともS女子です。







お疲れ様です。


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【緊急告知】司法修習プレセミナー10/16【参加せよ】

言うまでもなく
ドラクエの最高傑作は2。


そんなあなたに会いたくて,
私は今,キーボードに向かっています。

司法試験を受かっても
修習に行くまではいろいろと不安なもの。


「司法修習に行く前にしておいた方がいいことは?」
「裁判官になりたいけど,
修習で気をつけることは?」
「入る事務所って
どうやって選んだらいいのかな?」


法曹を志すあなたや私が
漠然と心に抱えている不安を
払拭する素敵なイベント。
それが,
兵庫県弁護士会(法科大学院委員会)主催の
「司法修習プレセミナー」

その年の司法試験受験者を対象にした
毎年恒例のイベントで,
今年は10月16日(金)
14:30から17:20で開催します。
本年は,新型コロナウイルス感染症対策の見地から
ZOOMを使ってWebで開催することになりました。
(つまり,例年よりも参加のハードルはかなり低い)


イソ弁,ボス弁,インハウス,
裁判官に検察官。
大手法曹リクルート会社の方も
やってくるよ!(Zoom上に)。



司法修習プレセミナー2020/10/16

申込はWebで!
★申込はこちらから★


Zoomで先着500名ということで,
現在全国の受験者の方から
参加申出を頂いております。

まだ参加者に十分余裕はありますが,
申込期限が10月9日に迫っています。

皆さんお誘い合わせの上,
ふるってご参加下さい。



presemi01.png




研修所に行く前に
「どうのつるぎ」を「くさりがま」に
しておくまたとないチャンスです!



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【副会長日記】担当副会長の唄

ある晴れた昼さがり
講堂へ続く道

昇降機がゴトゴト
役員を乗せて行く

かわいい副会長 引かれてゆくよ
悲しそうな瞳で見ているよ(常議員を)

ドナドナドナドナ
担当副会長を乗せて

ナドナドナドナド
昇降機が揺れる
(「この『支援など』の『など』って
具体的になんですか?」)

もしも翼が あったならば
楽しい役員室に帰れるものを 

ドナドナドナドナ
担当副会長を乗せて

ナドナドナドナド
視線も揺れる
(「他会の対応状況は確認されていますか?」)




donadona.png


毎日,ほどよい緊張感の中で
お仕事させていただいております!
この宇宙のすべてに感謝。

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【副会長日記】「ああああ」弁護士会



このあいだ,
弁護士会の根拠法が気になって
弁護士法に目を通してたんです。

そしたら,31条以下に定めがあったんだけど,
「地方裁判所の管轄区域ごとに
設立しなければならない。」
ってあるくらいで(法32条),
少なくとも弁護士法上は
各単位会の名称について
特に縛りがないのよ。


てことは,
ジャズ弁護士会とか
イチゴ弁護士会とかでも
いいわけじゃない?

だいたいどの会も,会則の第1条で
「本会は,●●弁護士会と称する。」
って定めてるんだけど,
総会で会則改正すれば,
例えば「首都弁護士会東京」
みたいなのもいけそうですよね。


弁護士会の名称は
もっと自由でもいいんじゃないのかな。



namae.png




この業界,安易な他会批判は
命に関わるという。





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【副会長日記】声明・談話の生まれるところ

会館の窓に網戸がついた結果,
部屋の蚊が追い出しにくくなった。

トウチョク,今,当直中。
弁護士中村真です。

単位会の会長声明や談話。

あれって,会長がアグレッシブに
独断で発出するものだとばっかり
思っていたんです。

実際は,大抵
それぞれのトピックに関連する委員会などから
素案が上がってきて,役員室でも協議して,
通常は常議員会なんかも通して
それから発出という形になるのが
一般的だと知った43の夏。

ああ,委員会って素晴らしい。



mousyodanwa.png



そろそろ副会長談話みたいなのも
あってもいいよね?


ワイが今,談話出すとしたら
こんな感じ。



「     副会長談話

この間,ハードディスクが吹っ飛んだけど,
バックアップとれてなかったから
ひどく困った。

この話するたび,みんなが
『でもバックアップは取ってたんでしょう?』
って口々に言ってきてイヤだった。

バックアップとれてたら絶対してない
表情しながら話してたのに。
でも,バックアップ取ろうと外付SSDを
買ったところだったし,
何もしなかったわけじゃない。
単に運が悪かったっていうのがある。

やっぱりバックアップは大切だと思いました。

やればできた。必ずできた。
最後まで読んでくれてありがとう。

              副会長 中村真 」





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プロフィール

弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。当職が出資したクラウドファンディングはたいてい頓挫します。

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