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民事尋問の戦略

こんにちは。

地域ぐるみはいい意味で,
組織ぐるみは悪い意味

弁護士中村真です。




担当しているロースクールの授業で
毎年,模擬裁判をやるのですが,
尋問に熱心に取り組む
学生さんの姿を目にするたび
いつも同じ思いにとらわれます。


jinmon01(1).png







手続法の理解が追いついていないのと,
尋問を行う意味,立証上の位置づけについて
まだリアルに捉えられていないのとで,
質問の組み立てや投げかけ方が
荒削りで,改善の余地が沢山あります。


模擬裁判自体,
まだほとんど実務に触れていない
ロースクール生に
尋問の難しさに気付いてもらい,
同時に改善点を浮き上がらせるために
行っているので,
まさに講師として
期待しているとおりの結果です。


アドバイスの内容も
事実の拾い方や証拠評価など
実質面について2割
質問の構成や実践,
異議対応を含めた
法廷での立ち居振る舞い方等の
形式面について8割という感じです。




jinmon02(1).png





そして,この8割を占める
形式面での課題は
どの年も概ね共通しており,
「毎年同じことを指摘しているな」
という感じです。




同じことは選択型実務修習で行われる
交互尋問演習にも当てはまるのですが,
さて,我々実務家はどうかと
立ち止まって考えてみました。




jinmon03(1).png




はたして自分はどうであったろうか,と
私は自分の
「最初の民事尋問期日」
の記憶を呼び覚ましてみました。




(※左から右へ(⇒)読んでください。)
blogpicture(1)s.png










jinmonimage02.png













すまない、結局、また
本の宣伝なんだ。







民事尋問は,
修習が終わって実務に出ると
すぐに直面する業務ですが,
それまでに得られる研鑽の機会は
十分とは言えません。


また,個々の案件の争点や
出されている主張・証拠に照らした
スパンの長い準備,実践が求められるため
イソ弁であっても,ボスや先輩から
適切で十分な指導を受けくい
という特徴があります。


加えて,日々事件処理に追われていると
事件の相手方くらいしか
他の人のやり方を目にする機会がありません。
(それに,尋問前に和解で落ちる事件の多さが
拍車をかけています。)


また,尋問は,事件のスジや起案と違って
事案の帰結との因果関係が分かりにくいため
改善が必要という意識も持ちにくくなります。


結局,尋問は
自分がそれまでやってきた方法を
正しいと信じて続けてしまう傾向が強く,
それが適切でない方法であったとしても
改善のきっかけがないということがほとんど
です。



この『若手法律家のための民事尋問戦略』では,
以下の点に力を入れています。



まず1つ目として,
その意義や一連の手続の構造を理解するため,
尋問手続を規律する重要な民訴法,民訴規則のルールを整理し,
分かりやすく説明
することを心掛けました。


二つ目は,
色々な人が色々なやり方をしている部分
(尋問準備や期日の現場対応など)について,
思い切って,最も合理的かつ実践的と考える取り組み方
提示しています。
そこでは,「戦略」のみならず「戦術」的なことがら,
すなわち現場で実行することを前提とした
尋問技術についても触れています。


そして三つ目は,
弾劾証拠の扱い,異議の根拠と対応,尋問と鑑定人質問の異同など,
若手が疑問や引っかかりを感じるものの,
これまで類書であまり取り上げられなかった事項
について,
考え方・実践的な対応の両面から掘り下げるように努めました。



販売価格は
定価=本体3,200円+税で,
発刊時期(各地書店さんの店頭に並ぶ時期)は,
10月10日(配本日)から1週間程度を予定しております。

店頭での展開は,地域や店舗によってばらつきがあるので
すぐ入手していただくには予約がおススメです。






あなたという土壌に
民事尋問技術の根を張るための
確かな一冊になるはずです。



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なお,参考までに
書籍の目次部分を以下に掲載致します。
興味を持たれた方は是非(^o^)

【目次】

はしがき
凡例
Introduction
 -本書における記載上のルール等


第1章 民事尋問の基礎知識  
1 尋問はなぜ失敗するのか? 
(1)あなたの尋問、大丈夫?
(2)尋問の失敗は2つのパターンがある
2 尋問の目的と対象者
(1)尋問の目的
(2)尋問の対象者
3 重要度別!尋問のルール
(1)まずは型から入るべし
(2)質問はできる限り、個別的かつ具体的に 
(3)「してはならない」質問がある
(4)文書等を利用する場合にはルールがある
(5)証人・当事者・傍聴人の在廷と退廷
4 NG質問の一覧
(1)証人を侮辱し、又は困惑させる質問
(2)誘導尋問
(3)既にした質問と重複する質問
(4)争点に関係のない質問
(5)意見の陳述を求める質問
(6)直接経験していない事実についての質問
(7)誤導質問
5 尋問に文書等を利用する場合
(1)文書等を利用する場合のルール
(2)未提出の文書等を示す場合の注意点
(3)文書等の示し方の配慮
6 法廷での立ち居振る舞い
(1)ルールがなくとも、守りたいことがある
(2)はっきりと明瞭に、落ち着いて
(3)質問の前に必ず立場と氏名を言う
(4)あいまいな表現は使わず使わせず
(5)質問は必ず明確な疑問文の形で
(6)相手方の尋問中は必ずメモをとる
(7)証拠物等を示されたときは証言台まで必ず行く
(8)不必要に証言台に近寄るな
(9)示す証拠はきちんと整理しておく
(10)法廷や証人等に敬意を払うこと
 Column1 尋問時の証人・当事者等の服装などについて

第2章 陳述書
1 陳述書とは
(1)陳述書が生まれたわけ(沿革)
(2)陳述書の機能
2 陳述書はこう書くべし
(1)いつ出すべきか
(2)どこまで書くべきか
(3)どのように書くべきか
(4)どれくらい代理人が手を入れるべきか
Column2 「そんなこと陳述書に書いてないじゃないか!」

第3章 主尋問
1 主尋問の目的と到達すべき点
(1)目的と到達点を見定めよ
(2)立証すべき事項を訊くために
(3)「成功」に到達すべく精進せよ
2 主尋問の申請~採否までの注意点
(1)主尋問準備の重要性
(2)そもそも誰を申請するか
(3)尋問時間は何分とするか
(4)尋問事項書の作り方
(5)「呼出」と「同行」の使い分け
(6)尋問の順序はどう考えるべきか
(7)証人の一括申出
3 尋問の手控えの作成
(1)手控え作成ノススメ
(2)マコツ流!尋問の手控えの作り方
【資料】尋問の手控えの例
4 時系列一覧表の作成
(1)時系列一覧表の役割
(2)事実関係の整理のために役立つケース
(3)反対尋問の糸口を探すために役立つケース
(4)マコツ流!時系列一覧表の作り方
【資料】時系列一覧表の例
5 尋問テスト -リハーサルはこうやる!
(1)尋問テストの目的と注意点
(2)行う時期・回数・時間
(3)手控えを事前に証人等に渡す?
(4)尋問テストの当日は
【資料】本人に渡す用「尋問注意事項メモ」
6 主尋問の具体的なテクニック
(1)質問は短く端的に
(2)相槌は不要、オウム返しはしない
(3)証拠引用の際は証拠番号と標目、箇所まで
(4)敬語の使用にご用心
(5)指示語・ジェスチャー・固有名詞は具体化せよ
(6)反対尋問時に動揺を顔に出さない
7 ダメな主尋問
(1)具体例からぶった斬ろうのコーナー
(2)朗読・宣言・スピーチ型の冗長な質問
(3)誘導の使い方がまずい質問
(4)準備書面や陳述書をなぞるだけの尋問
(5)証人・本人に現場で書かせる尋問
(6)時間を守らない尋問
(7)「最後に言いたいことはありますか」
8 相手方の立場から見た異議の出し方
(1)ボーッと聞いてる場合じゃない!
(2)個別具体的でない質問に対して
(3)侮辱・困惑させる質問に対して
(4)誘導質問に対して
Column3 反対尋問を想定した主尋問対策を

第4章 反対尋問 
1 反対尋問の目的と到達すべき点
(1)立証上の位置付け
(2)裁判所はどう見ているか
(3)反対尋問と最終準備書面の主張の使い分け
2 反対尋問の準備
(1)反対尋問準備の重要性
(2)証拠採否時の注意点
(3)尋問の手控え・時系列一覧表の作成
【資料】反対尋問の手控えの例
3 反対尋問のための「読み」を磨け
(1)主尋問の深さを読め
(2)相手方の自己認識の内容を読む
(3)主尋問の間の準備
4 反対尋問のテクニック
(1)どのような形で切り込むべき事案か?
(2)「押すか引くか」の現場判断
(3)反対尋問は追い込み漁だ
(4)介入尋問のリスクを下げる工夫を
(5)反対尋問でとるべき態度
5 ダメな反対尋問
(1)反対尋問に特有のダメさ
(2)事前準備が不十分な尋問
(3)答えを想定していない質問
(4)「では次に〇〇について訊きます」という質問
(5)ぬりかべ尋問
(6)ダメ押し尋問
(7)及び腰の尋問
(8)議論してしまう尋問
(9)狼狽を見せる尋問
6 弾劾証拠はこう使え
(1)弾劾証拠とは
(2)事例に見る弾劾証拠の使い方
(3)弾劾証拠使用上の注意
Column4 反対尋問を行わないという選択はアリか

第5章 異議の出し方と対応
1 「異議とは何か」説明できる?
(1)まず「異議」とは何かを正しくおさえる
(2)「尋問に関して問題となる異議」
(3)「尋問に関して問題となる異議」のまとめ
2 「質問に対する異議」の目的・効用
(1)不適切な質問を、正しい流れに戻す
(2)ほか、異議の副次的効果
3 「質問に対する異議」の出し方
(1)必ず証人等が問いに答える前に出すこと
(2)明確に異議の根拠を指摘すること
(3)異議を出すべきか否かを常に考えながら臨む
(4)尋問の現場で問題となる異議の整理
4 「質問に対する異議」を出されたら?
(1)必ず裁判所を通してやりとりを行う
(2)何でもかんでもすぐに撤回しない
5 陳述書にない答えへの「異議」
(1)不意打ちの防止は是とされるか
(2)裁判長の判断はいかに
【資料】尋問で問題となる異議一覧表
Column5 特別な意味をもつ言葉に注意
  
第6章 補充尋問・介入尋問
1 補充尋問とのつきあい方
(1)補充尋問とは何か
(2)補充尋問の類型
(3)補充尋問は代理人泣かせ
(4)補充尋問を異議で阻止できる?
(5)仕事ぶりで裁判官の信頼を得よ
2 介入尋問とのつきあい方
(1)介入尋問とは何か
(2)補充尋問との違い
(3)介入尋問がなされる場面
(4)当事者等による介入尋問
Column6 補充尋問・介入尋問の受け止め方

第7章 鑑定人質問
1 鑑定人質問とは
(1)鑑定人質問を理解しよう
(2)そもそも「鑑定」とは
(3)鑑定の実施方法
(4)鑑定に似た鑑定の嘱託
2 鑑定人質問と尋問の違い
(1)鑑定制度の背景と手続の構造
(2)なぜ鑑定人「尋問」ではなく「質問」?
3 鑑定人質問で留意すべきこと
(1)留意すべき法令上の規定
(2)鑑定人質問に望む当事者のあり方
Column7 「尋問=会話という誤解」

第8章 尋問後
1 最終準備書面、書く?書かない?
(1)最終準備書面についての考え方
(2)最終準備書面を書いたほうがよいケース
(3)最終準備書面を書かなくてよいケース
(4)最終準備書面で気をつけておくべきこと
2 尋問の自己評価とさらなる研鑽
(1)尋問の道は平坦ならず
(2)実践、実践、実践あるのみ
Column8 回せ尋問のPDCA

事項索引

あとがきにかえて ―この本ができたわけ





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「第1準備書面」はひとつでいい

こんにちは。


爪を隠したら
出てこなくなった
能ある鷹、
弁護士中村真です。



神戸ではルミナリエが始まりました。
皆さんの廻りでは
何が始まりましたか?




今回は、前からずっと
気になっていたことを
取り上げたいと思います。

それは
準備書面の表題の付け方です。


最初に確認しておきますが、
準備書面の
表題の付け方に関する
法令の定めや
様式化されたルールはありません。



厳密には、表題自体、
民事訴訟法上定められた
必要的記載事項ではありません
(民訴法161条2項)。
書いてないと
それが民訴法161条1項の
「書面」であることが
わかんないから
書いてるわけです。


だからその
表題の通し番号
にいたってはなおさら法令上、
記載が要求されるもの
ではありません。




その上で、このような
事実上のルールを
どのように考えるか
というお話です。



さて…、





01_20181207163257de6.png





お尻に書く方というと、
「準備書面1」みたいに
括弧なしで書く人もたまにいます。
ただ、この書き方は
番号の視認性が劣るので
私自身はあまり好きではありません。



正直、準備書面で
「第1~」、「~(1)」という
複数の表題の書き方が
用いられている理由(わけ)や、
書面の表題を付ける意味について
今まで考えたことがないし、
今後も深く考える予定はない、
正直どうでもいいという方には、
以下のお話は理解が
難しいかもしれません。







ここからが本題ですが、
代理人として意気揚々と
訴訟追行していて
たまに参ったなと思う場面があります






02_20181207163259eba.png





こう書くと、
「弁護士中村真は訴訟していて
参ったなと思うのはその程度か」
と誤解を招きそうですが、
実際今までで一番
参ったときのことは
とてもここには書けません。





話を元に戻しましょう。



民事訴訟では
準備書面が双方から
複数出るのが通例なので、
できる限り、
準備書面のタイトルで
どの書面か特定できた方がいい

と思うのです。



つまり、書面の表題は
その書面の訴訟手続上の属性
(主張書面なのか、証拠なのか、
証拠説明書なのか、上申書なのか、
それとも、本腰入れて
読む必要のない
どうでもいい書面なのか
等)
を表すだけのものではありません。


特に、同じ当事者から複数回
提出されることが予定されている
準備書面の場合、
その表題は、
個々の書面を特定するための、
また誰がどの時点で提出したかを
特定するための
識別子となるべきものです。



ときどきどの準備書面も
単に「準備書面」とだけ
表題を書いて

出してくる人がいますが、
認否・反論のときに相手の書面を
特定しようとすると、
「平成●●年●●月●●日付準備書面」って
書かないといけなくて、
これ自体ものすごくムダです。







syomentokutei




表題にわずか数文字を加えるだけ
そこで表せる情報量が
飛躍的に増える上、
何らのデメリットもないのに、
それをしないというのは
正気の沙汰良いやり方
ではありません。



そういう書面を出す人の場合、
自分の後の書面で
過去の主張を引用・指摘するときも、
「既に主張の通り」とだけ書いて
その箇所を特定しないことが多くて、
要するに読む側の視点が欠けている
書面だと思うのですね。





書面に通し番号振るには
毎回、既に出している書面の数を
確認しないといけないわけですが、
それは代理人であれば、本来、
当たり前にやっているはずのことです。





というわけで、
準備書面には
通し番号を振りましょう。

その手間って
微々たるもんですよ。



この点の普及のため
私は
「あしたの準備書面の
表題を考える会」
を設立しました。










で、そうした目で見た場合、
確かに、規則には
なっていないけれども、
実務ではなんとなーく、
準備書面の表題の付け方に
一定したルールがあること

気付くのではないでしょうか。



つまり、
原告の出す書面は「第1~」
被告の出す書面は「~(1)」
といったルールで作られていることが
多いということに。







03_20181207163300a37.png




例えば、
司法研修所や
法科大学院等で用いられている
模擬裁判教材では、
この表題の付け方が
用いられています。


判例雑誌で、必ず
原告をX、被告をYと
記載しているのと同じく、
一般に違和感なく
受け入れられている
やり方です。




04_20181207163302f5b.png





通し番号のような序数は、
漢数字の方がしっくりくる
気もしますが、
とりわけ横書きの準備書面では、
一読した時の読み取りやすさは
アラビア数字には及びません。




0502.png





ところが、この点は、
定められた規則が存在しないためか、
少なくとも書記官さんや裁判官は
あまり関心がないように思われます。
(そんなことより書面を期限までに
ちゃんと出せと思っている。)




裁判所の関心は、
その書面が陳述された日時、
認否落ちがないか、
甲乙丙号証の割り振り・区別
といった点に向きがちです。

準備書面の表題を
裁判所が指定できるわけでも
ないですしね。


で、ここで冒頭の話に
戻るんですが、
通し番号は振るとして、
相手が既に「第1準備書面」
って出してたら、
わざわざ被せるんじゃなくて、
自分の側は「準備書面(1)」で
出したらよくないかってことです。
(その逆もまた然り。)


ここはお互いの
工夫と配慮
が必要です。





そういえば、
かつて原告と被告で
イメージカラーが存在した
という話を聞いたことは
ありませんか。



「かつて」と言いましたが、
今でも
事務所独自の書面の用紙
(アウトラインとか事務所名が
入ったもの)を用意し、
そのフォーマット部分の印刷色を
原告代理人のときは赤色
被告代理人のときは青色と、
使い分けている事務所が
ありますよね。



駆け出しの頃にボスに
原告は頭に血が上って
カッカ来ているから『赤色』

被告は訴えられて青くなっているから『青色』
だと教えられた記憶があります。
由来はともかく、
なんとなく「そうなのかな」と
思えなくもない話ではないですか。


そうなると、
裁判所は
どちらを選ぶかという
難しい判断を迫られるわけですね。






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ただ、運動会でも
白組にシンパシーを感じる私としては、
原告が赤色というのに
何となく違和感を感じてしまいます。






07_201812071633060b9.png




また話が逸れました。
準備書面の表題の話です。


そういったわけで、
準備書面の表題には
一定のルールで通し番号を
付けるというのが
適切だと思うのですが、
それも正しく運用されてこそです。


たまにデータ流用時のミスで、
「第3準備書面を間違って2回出す」
という事態があったりして、
たいてい美人書記官や
小賢しい相手方代理人の指摘で
訂正することになりますが、
それはそれでカッコ悪い話です。


一つ印象に残っているのが、
だいぶ昔の事件でしたが、
「最終準備書面」
というタイトルの書面が
3回出てきたとき
のことです。







saisyu.png





破産で最後配当が
3回もらえるというのであれば
歓迎する人も多いかもしれませんが、
最終準備書面3回は
あまりメリットがありません。





最終準備書面というのは、
本来、証拠調べのあと、結審前に
証拠調べの評価や主張の
まとめを書いて出すものなので、
普通、そこまで長くなることも
内容が多くなることもないはずです。


まあ、それはそれとして、
このケースでは「最終」といいつつ、
それが3回出てきたことに
ぬぐいようのない違和感があったわけです。


慣例上、
「結審前に最後に出す準備書面」を
最終準備書面と呼んでいるだけ
で、
書面のタイトル自体を
律儀に「最終準備書面」と
書く必要はありません。



変に「最終」なんて書くものだから
あとで引っ込みが付かなくなるわけで、
最終準備書面も単純に
それまでの書面の番号に次いで
通し番号で「第5準備書面」、
「準備書面(4)」といった名前で
出せばいいんじゃないかと当職思います。
(第一、控訴する(される)
可能性もあるんだから。)




ちなみに、
私は、ここ数年は控訴審で出す書面は
「控訴人第1準備書面」
「被控訴人準備書面(1)」
といった表題を使うようにしています。

これも若干表題が
重たくなりはするんですが、
そう書いた方が、一審と控訴審の
どちらで出した書面なのかが
わかりやすいからと
考えてのことです。


続審制だからといって、
準備書面の通し番号まで
続けて出さないといけない
というもんでもないかなと。



というわけで、当会は
満を持して
ガイドラインを策定しました。




 guideline



「あしたの準備書面の
表題を考える会」では
随時賛助会員を募集しています。




 ending



ね?

Everyone's Lonely

久しぶりの更新。
久しぶりといえば、
人って少し会わないと変わるよね。


最近ね、人に会う度に
「ちょっと太った?」って
聞かれるんですよ。




00futori.png








今回のマクラはここまでです。







最近、単位会や弁連の会務の関係で、
民事訴訟制度の実務と運用の改善について
調べたり学んだりすることが多いのであります。



諸外国に比べて
立ち後れていると話題の

執行法制の改正や
民事事件の争点整理のあり方、
民事控訴審における
審理充実のための運用改善案など、
色々な視点・角度から
民事訴訟を分析してみると
非常に興味深く、
また知的好奇心を刺激されます。




知識が増えると、
思考にも深みが出てきます。




例えば、平成10年改正法で新設された
上告受理申立の現在
について言えばですね、





01jyoujyuri.png





私の知的好奇心の到達点は
大体このレベルです。






それはそれとして、
最近出たいくつかの集まりで
「民事の訴訟件数を増やす方策」
話題に上ったんですよ。



ご存じのように、
地裁民事事件の新受件数は
年々減少の一途を辿っており
すでにピーク時の半分程度にまで
落ち込んでいるとかいないとか。

訴訟だけが紛争解決の道ではないにしても
やはりこれは実務に携わる者としては
少々寂しいところです。


この事件数の落ち込みは
過払金返還請求訴訟の減少というだけでは
説明がつかない数字です。
また訴訟件数を減らすほどに
ADRが普及しているようには思えません。

かといって、世の中が
平穏になってきたようにも
思われないので、単純に
「事件のないことはいいことだ」
ではすまされない
問題なんじゃないのかな。


だとすると
裁判所の新受件数の減少は、
一体どういったところに原因があるのか。
(もしかして俺が知らないだけで、
民間の裁判所とか出来たりしてるの?)


これは裁判所にとっては、
自らの存在意義に関わるため
より深刻な問題を孕んでいます。
公的な紛争解決システム
として存在する以上、
正常に機能することが必要ですし、
そのためには解決すべき問題が
不可欠だからですね。



というわけで、
裁判所の事件数を
増やす算段が必要
なのですよ。






02bourin.png





とはいえ
かつての過払金返還請求訴訟みたいな
ノミナルな訴訟ばっかりで、
裁判所の事務負担が無駄に増えても
困るじゃない?イヤじゃない?
(「ノミナルな」っていうのは
最近知った言葉なのですが、
民事訴訟実務の最先端の現場でも
使われてる用語らしいです(^ν^))


特に昨今は(民事の事件数全体は減ってても)
弁護士費用特約の普及で
少額の交通訴訟は逆に増えてて、
ハ号、レ号の事件数増が
簡裁、地裁の事件処理を
圧迫しているという話も
聞かれるところです。


なんとかして、
事件処理負担の増大なしに
事件数を上げられる方法って
ないものでしょうか?




あるんですよ。




モニターの前の
最高裁事務総長様は

受付分配通達改定のため
ぜひメモのご用意を( ´∀`)






03heigounashi.png





天才現る。




えっと、
民事裁判実務を
まだよく知らない修習生
とか向けに
少し書いておくとね、
民事事件での「主観的」併合ってのは
一つの訴訟手続で原告や被告が複数いる場合で、
例えば同じ交通事故の被害者二人が
加害者とその使用者を
同時に訴えるようなパターンね。
(原告、被告ともに複数のケース)


これに対して、
訴えの「客観的」併合ってのは
一つの訴訟手続で複数の請求が
一緒になってる場合で、
例えば建物の明け渡しと
賃料相当損害金の支払いを
同じ訴えで請求する場合とかね。


当然、主観的併合、
客観的併合の両方に当てはまる
訴えというのもあります。


で、訴えの主観的併合、客観的併合を
禁止するとどうなるかをざっくり言うとね。





04yaoya.png





そうなると、民事の受付で
こんな光景が見られるようになる
かもしれません。





05madoguchi.png





人はみな、一人で生まれ、
いつかは一人で死んでゆく、
孤独な生き物です。



1人の被告に訴えを提起するときは
原告が何人でも、
受付で提出する訴状、甲号証は
正本、副本各1通ですよね。

でも原告17人が
これを別々に訴訟提起しようとすると、
合わせて正本17通、副本17通が
必要になる計算。わぁ大変。

原告が100人を超えるような
集団訴訟だと
いったいどうなって
しまうんでしょうね( ´∀`)
その答えを見つけるのはあなた自身です。



ここで気になるのは
訴訟経済の視点だとか
矛盾判決等の弊害防止策ですね。





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細かいこと言うと、
弁論の併合(民訴152)は
裁判所主導で行われるもので、
当事者には申立権がなく
職権発動を促す「併合上申」を
するのが常態なんだけど、
それを待たずにJ目線で
バンバン併合してくって意味ね。





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ノリで書いてるのは
いつものことなので、
「印紙代の負担が増えたら
訴訟提起の件数減るんじゃ…」
っていう無粋なツッコミ
もう少し待ってね。





08touzencard.png





記録管理の手間と
廷吏事務官さんの事件の読み上げ、
当事者表記の複雑化の負担が増えるのが
若干アレなような気もします。











ようするに、
原始的併合を禁止すれば
見た目上、新受件数は増えるし、
その上で弁論の併合を活用すれば
事実上の弊害もある程度は防げるんじゃ
ないかなっていう話。


ていう話を知り合いの
書記官さんにしてみたところ、
「それって
なんの意味があんの?」

だって( ´∀`)
















意味なんかねえよ。


こっちは
新快速乗ってるときに
テキトーに思いついたことを
そのまま書いてるだけ
なんだから。


それにしても、
思いついた時は
自分が天才だとまで思ったものですが、
よくよく考えてみると、
ここまで裁判所、当事者、
代理人みんなにとって嬉しくない
システムもないですね。



だから、
「それになんの意味があるの?」
っていう指摘は
実務に携わる者の指摘としては
もっともだと思うんだけど、
国とか特定の業界団体の考えつく制度って
こういう本質からズレた
誤魔化しみたいなの
他にも結構あるよね( ´∀`)





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もう少し真面目に
新受件数増を考えようとすると
例えば今まで見向きもされてこなかった
小さな付随的紛争を事件化していく
ってのはどうでしょうか( ´∀`)

例えば、貸金の期限を
数日過ぎて返済されたケースで、
延損だけ訴訟で請求するのよ。

この場合、利息にせよ延損にせよ
それだけの請求だと
附帯請求(民訴9II)になんないから
しっかり印紙代かかるんだよね。

俺はしないけど、
誰かがやるといいと思います。





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これはつまりこういうことね。





11dannoura.png



秋らしく
尻切れとんぼ。




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尋問と依頼者

反対尋問は何が出てくるかわからないことが少なくないので、
あらかじめいろんな答えが出てくる場合を想定して準備するんだけど、
主尋問はこちら側の立証事項の裏付けのために
綿密な準備の元やるものだから
そうそう面倒な事態は起こらないよね。


そんな風に考えていた時期が
俺にもありました。



こちら側の証人や本人といっても、
大多数は訴訟で尋問を受けるのなんて初めて
という人ばっかりです。
とはいっても、主尋問は反対尋問と異なり
「うまくいって当たり前」的な側面が強く、
裁判官も主尋問の出来、不出来を心証形成の上でそれなりに重視しますので、
これが首尾良くいかないと訴訟では致命傷になりかねません。

そのため、尋問対象者の性格や事件の内容にもよりますが、
私は、主尋問の打ち合わせは
時間をかけて綿密に行うことが多いです。

ozu.jpg

なお、主尋問の打ち合わせなので、
当然、陳述書の記載内容の確認
作った尋問事項に沿った受け答えのシミュレーション
予想される反対尋問の内容の説明と対応策の教示
などを行うわけですが、
特に時間を割くのは主尋問の質問事項に対する答え方の指導
(聞き手に誤解を生じさせたり、相手方に突っ込みどころを
露呈したりする答え方をしていないかという点)です。

それでも、本人や証人が興奮したり舞い上がったりしてしまうと、
打ち合わせにないことを話し出してしまうのが主尋問の常です。

boiledegg.jpg

なので、主尋問の打ち合わせでは、
反対尋問で聞かれる質問内容の予測そのものよりも、
反対尋問で本人や証人に生じるリスク(暴走や激高、パニックなど)を予想したり、
そのような事態に陥らないようにどれだけ綿密に
事前準備ができるかという点が重要だと思っています。

また、本人尋問が終わったあと、
依頼者は、自分の答え方の出来、不出来や
訴訟の勝敗について不安を感じていることが多いので、
その点についても、受任弁護士の立場から
ある程度のフォローをしてあげるのが適切なんじゃないかと思います。

negirai.jpg

まあ、ここら辺は誰でも一緒かもしれないけどね。

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尋問における異議のあり方

証拠調べの花形といえば尋問ですが、
異議の出し方や出されたときの対応の仕方については
頭に叩き込んでおく必要があろうかと思うので、
知識を整理するためにまとめておきます。

1 異議の出し方

当事者は、相手方の質問の仕方などに問題がある場合、
異議を出してその質問を制限するよう求めることができます(民訴規則117条1項)。

で、具体的にどのような質問が異議事由に当たるかですが、
これは、民訴規則の115条2項各号に列挙されています。

1.証人を侮辱し、又は困惑させる質問
ex)「信号機ってわかりますか?赤と黄色と青に光るやつ。」
2.誘導質問
ex)「あなたは30km/hで走ってたのに右の道路から
  信号無視の被告車が50km/hくらいで飛び出してきて、
  ブレーキを踏んだけど間に合わずに当たってしまったのですか?」
3.既にした質問と重複する質問
ex)「あなたが見たとき信号は何色だったの?」
 「さっき、『信号は青だった』って言ってたけど本当?」
 「もう一度聞くけど、信号は本当に青だったの?」
 「じゃ、整理しようか。信号は何色だったの?」
4.争点に関係のない質問
ex)「じゃ、あなたが今まで車に乗ってて
  一番楽しかった思い出を聞かせてくれる?」
5.意見の陳述を求める質問
ex)「男子なのにAT車限定の原告についてどう思う?」
6.証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
ex)「これは僕の友達の友達が体験した実話なんだけどね…」

これらの異議事由が頭の中でちゃんと整理されていないと
流れの速い尋問手続の中で、
とっさに適切な異議を出すことが難しくなってしまいます。

なお、異議の重要性から
「とりあえず異議出して質問止めて、
後からどの異議事由に当たるか考えたらええんや」

という実務家もいます(中村の民弁教官もそうでした。)。
ただ、これも異議事由が頭の中にあるからできることで、
「異議の理由は?」と裁判官から聞かれて
スッと出てこないようでは、いかにもカッコ悪い。

ちなみに、1号以外の異議事由については
「正当な理由がある場合」にはしてもよいとされており(規則115条2項柱書)、
実際には異議が出されない場合も多いように感じます。

例えば、主尋問では原則、誘導尋問は不相当なのですが、
陳述書を出しているにも関わらず、
「陳述書ではこれこれこう書いているけど間違いない?」
的な尋問を延々とする弁護士というのがどこの会にもいます。

そういう場合「つまんねー尋問してんなぁ」とは思いつつも、
いちいち異議を出すということはしない人の方が多いんじゃないかと。
異議出すと却って時間浪費するし、
逐語調書や録反なら「この人、誘導ばっかりでした」ってことが調書上明確に残るからね。

ただ、異議の本来的な趣旨からは外れるけど、
実務家としてどうしても異議を
出さないといけない3つのケース
というのがあって
これは覚えておいて損はありません。
1 依頼者がパニックに陥ってるなど相手の質問の流れを止める必要があるとき
2 相手の尋問がダルくて裁判官が寝そうなとき
3 女子大生、女子のロー生が傍聴に来てるとき

ただ、裁判官が話に聞き入ってるときに
それを邪魔するような異議を連発するというのは逆効果なので、
異議を出すか出さないかも裁判官の顔色を見ながら
っていうのが中村のスタンスです。

2 異議を出された場合の対応について

逆に、異議を出された場合はどうか?

まず、注意が必要なのは、
相手方の異議に対して自分で直接
「異議の理由は?」と聞き返したり、
「なにしょうもない異議出しとんのや!」などと言い返したり
してはならんということです。
(これは模擬裁判の初期の説明でも必ず言われることですが。)

先に書いたように「異議」は
「裁判所に対して相手方の質問の制限を求める申立」なので
名宛人はあくまでも裁判所です。
なので、異議を出された方は
裁判所から「異議に対する意見は?」と聞かれてから
落ち着いて「異議に理由がないこと」を裁判所に説明すればいいのです。

なお、この点に関して、
修習中、書研(=書記官研修所)教官の方の
講義を聴く機会があったのですが、その教官は
「最近の若手弁護士は、相手から異議が出るとすぐに
質問を撤回してしまうがこれは適切でないことが多い」と言われていました。

これはなぜかというと、
相手方の異議にあって質問を撤回してしまうと、
調書上、その質問自体がなかったことになってしまうので、
非常にもったいないからだと言うことでした。
(逆に、異議に対して理由がないことを述べ
裁判所の決定(民訴規則117条2項)がなされた場合は、
その一連のやりとりが調書上に記録されることになります。)

tekkai.jpg


建前上は異議というものは
「してはならない質問」に対して出されるというものですが(民訴規則115条2項)、
実際は、異議が出される質問というのは
質問自体がイイトコロを突いている(=相手にとって痛い質問である)
ということが少なくありません。
そして、この書研の教官の指摘も
このような「異議が出る質問=いい質問」という視点からなされたものと言えます。

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プロフィール

弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。当職が出資したクラウドファンディングはたいてい頓挫します。

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