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巨大損保の合併

一部報道では、損害保険大手の
損保ジャパン日本興亜損害保険とが合併を検討中とのこと。

なお、両社は昨年4月に経営統合し
「NKSJホールディングス」が発足しましたが、
顧客基盤の違い等を理由に、統合後も
当面2社を分けた状態で経営を行うものとされていました。
そのため、今回の合併事態は
いわば既定路線どおりと見ることもできます。

そういえば、同じく
あいおい損害保険とニッセイ同和損保とが合併したのも
去年の10月。

損保の合併が起こると、
「加害者と被害者の加入している損保が
事故後に一緒になった

ということが生じます。

なお、私が担当していた事件でも、
事故当時は加害者がA社、被害者がB社に加入していたところ、
両社の合併で「社」が誕生したため
このような状態になったということがありました。

なので、
AB社の加害者担当aさんと示談交渉しながら、
同じ会社の被害者担当bさんから事件進捗状況の
照会が来るという、とても奇妙な状況でした。

話は一旦逸れますが、
あるご夫婦から事件の依頼を受けていたところ、
ある時点からなぜか、旦那さんと奥さんから別々に
事件の進み具合の問い合わせが来るようになり、
その後、事件中に離婚が成立したということもありました。
これは袂を分かつということで、
損保の合併とは逆のケースです。

なお、担当bさんに聞いたところ、
「同じ会社になったとはいえ、
コンプライアンス上、相手方当事者の担当者とは
直接情報共有できない形となっているのです。」という説明。
(「それってホントなのかなぁ」という疑問を持つのは、
視点としては重要だけれど
事件を処理する上では余り意味がない。)

ただ、巨大な損保が合併するということで、
両社のキャラクターとか対応の違いっていうのは
どういう感じになっていくのかなぁという点には
若干興味があります。

特に、損保によって顧客層や処理方針、損害査定に
結構な幅があることは、事故処理に携わる弁護士なら
皆感じるところじゃないかと思うのです。
これは、NKSJホールディングス発足後の
2社体制の採用という点からもうかがわれます。

方針や価値観がごちゃ混ぜになると
相手方としても結構混乱することが多いので、
どちらか一方に、できればより被害者保護に厚い方に
統一されるのが望ましいんじゃないかと、エラそうなことを考えています。


sonpo.jpg

ちなみに、確率的には、合併の場合でなくても
「加害者と被害者とが同じ保険会社に加入している」という事態は
幾らでも生じそうなもんです。
でも、そこは自社内でうまく処理しているためか、
賠償を巡って大きな問題になったり、依頼を受けたりということは
あんまり聞きません(財布が一緒だからかな…)。

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【役立つ!】損害保険の求償と根拠条文について

損害保険会社の加害者に対する「求償」の仕事をしてて
最近注意しないといけないのが根拠条文。

従来は
「保険会社が加害者に代わって被害者に保険金を支払った。」
       ↓
「商法662条1項に基づき加害者に対する損害賠償請求権を取得した。」
という単純な流れでよかった。

ところが、ご存じのように、
平成20年の商法改正と保険法の新設によって、
今後この代位の際の根拠条文が変わります。

具体的には、
平成22年3月31日以前に締結された保険契約に基づく場合旧商法662条1項
平成22年4月1日以後に締結された保険契約に基づく場合保険法25条1項
それぞれ代位の根拠条文になる。

あと、いま旧商法の規定を根拠条文として記載するときは
「平成20年法律57号による改正前の商法662条1項」って書くのが正確か。
(なんか、起訴状の「罪名及び罰条」に出てきそうな表現ですが。)

ちなみに保険法25条1項は
「保険者は、保険給付を行ったときは、
 次に掲げる額のうちいずれか少ない額を限度として、
 保険事故による損害が生じたことにより被保険者が取得する債権
 (債務の不履行その他の理由により債権について生ずることのある
 損害をてん補する損害保険契約においては、
 当該債権を含む。以下この条において「被保険者債権」という。)
 について当然に被保険者に代位する。
 一 当該保険者が行った保険給付の額
 二 被保険者債権の額(前号に掲げる額がてん補損害額に不足するときは、
  被保険者債権の額から当該不足額を控除した残額)」
となっています。

代位額に関する記載が加えられたりしていますが、
代位請求を行う場合は、旧商法662条1項と同様の扱いで行けそうです。

一方、商法662条の箇所を見ると、
新しい六法では既に(削除)となってて使えない。
こういうことがあるから古い六法も置いてたほうがいいんですよね。
六法はかさばるけど、捨ててしまうと
あとで調べたい改正前の条文とかが
見られなくて困るということがよくあります。

gomi.jpg

平成22年4月1日以降に契約された自動車保険の
「求償」の問題もそろそろ多くなってきているころかと思われるので、
しばらくの間は契約締結日も確認する必要がありそう。

ちなみに、損害保険会社が好んで使う「求償」って言葉やけど、
これはいわゆる法律上の「求償」の場面とちょっと違った
使われ方をしているのでやや紛らわしい。
(多分、「本来負担すべき人にケツを持っていく」的な緩い感じで使ってると思う。)
「求償」って法律上は、
保証・連帯債務とか共同不法行為の行為者間の清算の場面で
使われる言葉だと思うのです。

なので実際に訴状書くときも、
法律上の求償請求権」を訴訟物にしてる場合でもない限り
「求償請求」って言っちゃうのは不正確な気がするので、
事件名には書かないようにしています。

じゃ、どうやって書くかだけど、
たとえば、代位によって取得した損害賠償請求権(原債権)を行使するときは
保険代位による損害賠償請求訴訟」って書いてます。

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【役立つ!】物損事故(物件事故)の場合の事故状況の把握

物損だけが生じている事故(物件事故)の場合、
自動車運転過失致死傷罪違反(刑法211条2項)等での立件がなされないため、
原則として「刑事記録」というものも表には出てこない。
(資料が全く無いはずはないが、照会しても「不見当」となる。)

つまり、物件事故では実況見分調書のような
第三者が関与して作成した事故状況に関する資料が出てこないので、
やむを得ず保険会社(の依頼した調査会社)が作成した
事故状況報告書等をもとに事故の状況把握や立証をしていかないといけない。
(一方当事者の作成した資料なのでその証明力には自ずから限界が有る。)

もっとも、実況見分調書ほどメジャーでは無いけれど、
物件事故の場合であっても、
警察が事故の状況や当事者の聞き取りをもとに作成した
「物件事故報告書」というものがあって、
これは証拠として利用することができる。
(訴訟で証拠として出てくることはほとんどないけど。)

その取り寄せは、弁護士照会(弁護士法23条の2)によることになる。

ところが、この「物件事故報告書」は
「A4の用紙1枚に事故証明の日時・場所・当事者・事故類型欄が切り抜き貼付され、
その下に7cm×8.5cmほどの大きさの『略図』が加えられているだけ」

という、極めて簡略なもの。
(しかも、標題も書かれてないので「物件事故報告書」ってのも
正式な名称じゃないのかもしれない。どうでもいいけど。)

bukken.jpg

なので、この「物件事故報告書」を
事故発生状況の詳細を立証する資料とすることは難しい

(「物件事故報告書」がマイナーなのはこのためだと思う。)

もっとも、簡略なものではあれ、
当事者から聞き取った事故状況をもとに略図が作成されているため、
「被告の主張は事故直後の説明と矛盾している」っていう形での
証拠利用は十分可能だし、うちが取り寄せたのもそのようなケースだった。

こと物件事故に関しては、
実況見分調書のような第三者作成の資料が出てこないことから、
訴訟の段階で当事者が実際の事故状況と異なる主張をすることが多くなる。
そのため、弾劾証拠としての利用という点にこそ
「物件事故報告書」というものの「使いで」があると思っている。

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【役立つ!】保険金取得歴の調査

交通事故事件のうち、受傷疑義案件の場合には、以下のような調査嘱託の方法により「被害者」の過去の保険金取得歴を調査することができる(交通春秋社発行・交通事故判例速報No.531「交通事故による受傷を装い、交通事故が発生したかのように作出したと認定した事例」)。

1 損害保険料率算出機構に対し、事故発生日、自賠責保険会社の名称、支払われた自賠責保険金額等の調査回答を求める調査嘱託を申請(被害者の住所・氏名・年齢等をもとに特定を行う。)。

2 「1」で判明した自賠責保険会社へ事故内容、求償してきた任意保険会社名の調査回答を求める調査嘱託を申請。

3 「2」で判明した任意保険会社事故状況等(賠償額の内訳、負傷内容、事故態様等)の調査回答を求める調査嘱託を申請。

特に、いわゆる「当たり屋」による不当要求事案の対応では過去の保険金取得歴の情報は貴重である。

atariya.jpg


なお、上記のような裁判所による調査嘱託の手続の場合、損害保険料率算出機構、自賠責保険会社、任意保険会社は回答の拒否や同意書の提出要求等は行わない模様である。

大阪高等裁判所平成22年6月18日判決(原審:大阪地方裁判所平成21年6月30日判決)

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被害者本人による示談交渉の結果

先日、依頼を受けた交通事故被害者の方の事件を処理していくと、既に2年前に被害者本人の方が保険会社との間で「免責証書」という形で示談を済ませてしまっていたことがわかりました。

弁護士に依頼せず被害者ご本人やその親族の方が加害者や保険会社と交渉されているケースは多いのですが、交通事故に関する法的な知識が不十分なために、本来請求できる金額を請求せずに不利な示談をしてしまっている事案が多いように思われます。
とりわけ、よく感じるのが、「請求できる損害費目」と「請求できない損害費目」に関する認識が、一般の方と交通事故に長けた専門家との間で少なからずずれているということです。
そのため、残念ながら、弁護士費用の負担がない代わりに損害賠償額で大きく損をしてしまっていると思われる事案も少なからずあります。

加害者や保険会社としては、支払う額が低い方が当然ありがたいわけですから、いろいろな理由を付けて値切ってきたり、被害者の方の主張が法律上通らないものであるかのように主張したりして、少しでも賠償額を減らそうとするのが一般的です。
同じような心理は加害者側の弁護士にも当然働いているのですが、やはり被害者の方としては、「(保険会社はともかく)弁護士なら被害者のことをちゃんと考えて処理してくれるはず」と考えてしまうことが多いようです(特に、弁護士は本来なんでもない当然の請求をいかにも「あなたに有利になるように認めさせてもらいましたよ」と見せかけるのが非常に巧いということは知っておくべきです。)。

残念ながら、上記の案件は被害者が内容に一応納得した上で免責証書に署名・押印してしまっていたため、これを覆すことは難しいと判断される事案でした。
せめて、保険会社からの示談の申出がなされたときに、その内容が妥当かどうかを専門家に相談してもらえていたらと思われてなりません。

saisyo.jpg
プロフィール

弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。自宅マンションに鳩が来るのが悩みです。

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