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【役立つ!】相続債務の弁済と法定単純承認

相続の場面で、被相続人に多額の債務がある場合、
多くの人は相続放棄(民法915条1項)を選ぶはず。

ただ、相続放棄の手続をとる場合に注意しなきゃならんのが
法定単純承認(民法921条)
たとえば、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」には
単純承認をしたものとみなされるので(同法1号)、
結局、相続人は自分が相続債務を負わないという主張ができなくなる。

ちなみに、この「相続財産の処分」(民法921条1号)で
法定単純承認の効果が生じるのは、
「相続人が自己のために相を開始した事実を知りながら相続財産を
処分したか、または少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を
確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要する」
とされています。
最高裁判所第一小法廷・昭和42年4月27日判決・判タ208号102頁等

なので、相続開始の事実(被相続人死亡の事実)を知らずに
使っちゃった場合はこの1号には当たらないことになります。

あと、ここでちょっと疑問に思ったのが、
この「処分」に「債務の弁済」はあたるのかということ。

つまり、被相続人の債務を相続人が支払うと
法定単純承認の効果が生じるのかどうかですが、
結論からいうと「債務の弁済」そのものは保存行為であって
「処分」ではないのでこれはあたらない


ただ、相続債務の弁済に充てる金を相続財産から支弁している場合
そのことが「相続財産の処分」に当たってしまいます。

なお、過去の事例を見ると、
被相続人名義の生命保険契約の死亡保険金から
相続人が相続債務を支払ったという事案で
この法定単純承認の成否が問題となったというケースがありました。
当該事案では、生命保険契約自体は被相続人が付保していたものでしたが、
被保険者(被相続人)死亡の場合の保険金受取人の指定がされておらず
かつ、約款上、「死亡保険金を被保険者の法定相続人に支払う」旨の
条項があった
という事情がありました。

そして、この事案において、
福岡高裁宮崎支部平成10年12月22日決定
上記約款の条項について
「被保険者(被相続人)が死亡した場合において
被保険者の相続人に保険金を
取得させることを定めたものと解すべき」として、
支払われた死亡保険金を相続人固有の資産(=「相続財産ではない」)とし、
その上で、大要「相続人固有の資産から弁済しているから
法定単純承認には当たらない」
と判示しております。
やや特殊なケースではありますが
相続財産と相続債務の関係を考える上で
理解が必要な事案かと思われます。

【※上記決定の理解と当職の誤解について、
コメントを頂いた方、どうもありがとうございました(^^;)】

そもそも放棄か承認かを決めないまま
故人の債務の弁済を行うという場面はやや考えにくいですが、
熟慮期間内に相続債務の弁済を行う場合は、
後の相続放棄の途が閉ざされないようにするため、
相続人自身の財布から(つまり自己名義の預金や現金から)
弁済を行うようにした方が良さそうです。

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【役立つ!】遺言書検認の意味

よく法律相談で聞かれる遺言書。

自筆証書遺言、あるいは秘密証書遺言の場合、
遺言の保管者または遺言を発見した相続人は
遺言者の死亡を知った後「遅滞なく」遺言者の最後の住所地を管轄する
家庭裁判所に、遺言書の検認を申し立てないといけない(民法1004条1項)。

また、封印のある遺言書は勝手に開けてはならず、
家庭裁判所で相続人(又はその代理人)の立会の上開封しなければならない(民法1004条3項)。
封印は通常、秘密証書遺言が多いと思われるが(というか、秘密証書遺言自体は少なかろう。)、
自筆証書遺言でも封印されている場合はこの開封の規定が適用されることになるんだろう。

この検認には二つの目的がある(裁判所のウェブサイト参照)。
①相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせる
②遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名等
 検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防ぐ。

逆に言えば、この二つの目的しかない。

なので、この検認の手続は遺言そのものの有効・無効とは全く関係がなく
検認後、遺言無効確認がなされる可能性もある。
この点は、当たり前の択一知識だけれど、
相談者はよく誤解しているところなので注意が必要。

ちなみに、作成時に内容について高度なチェック機能が働く公正証書遺言については
検認の手続は適用されない
(民法1004条2項)。

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弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。当職が出資したクラウドファンディングはたいてい頓挫します。

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