【役立つ!】利息制限法に基づく引き直し計算の注意点
利息制限法に基づく引き直し計算を行うとき、
「元本額によって制限利率が異なる」という点は若干注意が必要。
基礎的な知識だけれど、利限法1条1項では以下のとおりになっている。
・元本が10万円未満の場合 年二割(20%)
・元本が10万円以上100万円未満の場合 年一割八分(18%)
・元本が100万円以上の場合 年一割五分(15%)
では、
「貸付当初5万円、途中で残元本が10万円に達し、さらに100万円に達したけれど、
その後、元本が順次減少し、終いには過払いになった」という場合、
引き直し計算をする際に、適用利率はどうすべきか?
この点、利限法1条1項をそのまま素直に理解すれば、
「当初は20%、残元金が10万円になった時点で18%、
100万円になった時点で15%とし、
その後、残元金が100万円以下、10万円以下になるに従って、
また18%、20%とする」という方法も考えられます。
実際にWeb上ではこの方法を紹介しているサイトもあるし、
こんな計算方法で訴状書いている弁護士もそこそこいるような気がします。

ところが、結論を言うと、上記のケースでは
「当初20%→残元本が10万円に達した時点で18%
→残元本が100万円に達した時点で15%とし、
その後残元金0円になるまでずーーーーっと15%」とするのが正しい。
で、実際には実務の運用もこちらが主流で、
いちいち上げ下げしてると場合によっては書記官から指摘が入ることもある。
利息制限法の引直計算ソフトでも、
上記のような処理が自動でなされるようになってるのがあるんだけど、
ただ、その法的根拠はというとけっこうややこしい。
それが比較的新しい判例(最高裁判所第三小法廷平成22年4月20日判決・判タ1326号115頁)
で明確に判示されている。
理屈はこうだ。
基本、取引のある時点での残元金(残元本)の額に従って
その元本額に対する制限利率が決まるわけで、
例えば当初の借入が20万なら18%になります。
ただ、残元本が100万円以上になると15%になる。
これは利限法1条1項からくる当然の帰結です。
ただ、この判例の言い回しからすると、
例えば制限利率が18%から15%に変更された時点で
「新たな制限(つまり15%)を越える利息の約定が無効となる」ため、
以後は、元本額が変動しようが何しようが15%を越える利息請求権は
発生しないことになるというのです。
このため、元本額の変動により制限利率は不可逆的に減少する、ということになります。
つまり「20%→18%→15%」という方向での変更はありますが、
「15%→18%→20%」というように上昇する形での制限利率の変動は生じないことになります。
だから、端的に言えば、
当初の貸付が100万円以上であれば算定利率も未来永劫15%でいいし、
当初の貸付が10万円以上であれば、
その後算定利率は15パーセントに下がることはあっても20%に上がることはないのです。
(利限法が改正されたら別やけど)
個人的には、
「利限法の制限利率自体もともとフィクションやのに、
それが『制限利率の変更で新たな制限を超える利息の約定が無効になる』
なんて言われてもなぁ…。
任官しちゃうと考え方がファンタジックになりますなぁ(・∀・)ニヤニヤ」
とかは全く思わないので、きっちり不可逆的に算定利率を減少させてます。
律儀に上げ下げしてると手間かかる割に請求額下がるからね。
実際、机上の空論臭すぎる理屈ではあるけれど
消費者側寄りの判断やしいいのかなとあまり深く考えないのが正解。
ちなみに、上記の判例は、
「借り増しの場合、利限法1条1項に言う『元本』は
借り増し時の利限法引直済残元本額+借り増し額ですよ」
ということも言っている。
この点も、細かいけど結構重要か。

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「元本額によって制限利率が異なる」という点は若干注意が必要。
基礎的な知識だけれど、利限法1条1項では以下のとおりになっている。
・元本が10万円未満の場合 年二割(20%)
・元本が10万円以上100万円未満の場合 年一割八分(18%)
・元本が100万円以上の場合 年一割五分(15%)
では、
「貸付当初5万円、途中で残元本が10万円に達し、さらに100万円に達したけれど、
その後、元本が順次減少し、終いには過払いになった」という場合、
引き直し計算をする際に、適用利率はどうすべきか?
この点、利限法1条1項をそのまま素直に理解すれば、
「当初は20%、残元金が10万円になった時点で18%、
100万円になった時点で15%とし、
その後、残元金が100万円以下、10万円以下になるに従って、
また18%、20%とする」という方法も考えられます。
実際にWeb上ではこの方法を紹介しているサイトもあるし、
こんな計算方法で訴状書いている弁護士もそこそこいるような気がします。

ところが、結論を言うと、上記のケースでは
「当初20%→残元本が10万円に達した時点で18%
→残元本が100万円に達した時点で15%とし、
その後残元金0円になるまでずーーーーっと15%」とするのが正しい。
で、実際には実務の運用もこちらが主流で、
いちいち上げ下げしてると場合によっては書記官から指摘が入ることもある。
利息制限法の引直計算ソフトでも、
上記のような処理が自動でなされるようになってるのがあるんだけど、
ただ、その法的根拠はというとけっこうややこしい。
それが比較的新しい判例(最高裁判所第三小法廷平成22年4月20日判決・判タ1326号115頁)
で明確に判示されている。
理屈はこうだ。
基本、取引のある時点での残元金(残元本)の額に従って
その元本額に対する制限利率が決まるわけで、
例えば当初の借入が20万なら18%になります。
ただ、残元本が100万円以上になると15%になる。
これは利限法1条1項からくる当然の帰結です。
ただ、この判例の言い回しからすると、
例えば制限利率が18%から15%に変更された時点で
「新たな制限(つまり15%)を越える利息の約定が無効となる」ため、
以後は、元本額が変動しようが何しようが15%を越える利息請求権は
発生しないことになるというのです。
このため、元本額の変動により制限利率は不可逆的に減少する、ということになります。
つまり「20%→18%→15%」という方向での変更はありますが、
「15%→18%→20%」というように上昇する形での制限利率の変動は生じないことになります。
だから、端的に言えば、
当初の貸付が100万円以上であれば算定利率も未来永劫15%でいいし、
当初の貸付が10万円以上であれば、
その後算定利率は15パーセントに下がることはあっても20%に上がることはないのです。
(利限法が改正されたら別やけど)
個人的には、
「利限法の制限利率自体もともとフィクションやのに、
それが『制限利率の変更で新たな制限を超える利息の約定が無効になる』
なんて言われてもなぁ…。
任官しちゃうと考え方がファンタジックになりますなぁ(・∀・)ニヤニヤ」
とかは全く思わないので、きっちり不可逆的に算定利率を減少させてます。
律儀に上げ下げしてると手間かかる割に請求額下がるからね。
実際、机上の空論臭すぎる理屈ではあるけれど
消費者側寄りの判断やしいいのかなとあまり深く考えないのが正解。
ちなみに、上記の判例は、
「借り増しの場合、利限法1条1項に言う『元本』は
借り増し時の利限法引直済残元本額+借り増し額ですよ」
ということも言っている。
この点も、細かいけど結構重要か。

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