起訴便宜主義について

交通事故がらみの刑事事件に
被疑者段階から私選でつくことも多いんですが、
その時によく思うのが、
検察官や副検事のいう
「起訴も視野に入れて」っていうのが
かなりアテにならんなということ。

数年前くらいから、
(ホントかどうかは知りませんが)
全国的に刑法犯が減ってるなんて言われていまして、
「そのために検事が起訴する事件を探している」だとか、
「従来起訴されないような事件でも公判請求されてる」だとか、
「検事の給料は時給にしたらかなり低い」というようなことを
ちょくちょく耳にするようになりました。

それから、東名高速や福岡の悪質な事故があってから、
交通事故事犯の社会的影響や一般的な処罰感情が高まっているので、
業過や自動車運転過失致死傷に対する処罰も
厳しくなってきているように感じます。
(これ自体はもっともなことだと思います。)

ただ、死亡事故といっても
被害者側に重大な過失があるような事案では
起訴されるかどうか自体が微妙だというケースがあって、
そんなときには検察官や副検事の言う
「起訴も視野に入れて」っていう言葉がいつも以上に気になります。

それまでの事件処理経験だとか、
カンみたいなもので
「これで公判請求はさすがにないだろう」と頭ではわかっていても、
訴追裁量権を持った検事が「良くて罰金、
場合によっては公判請求も…」
なんて口にするのを前にすると、
弁護側としてもどうしても安全策をとって動かざるを得なくなります。

しかし、やはり最終的には起訴に至らずに終わることも多いので、
中には「被疑者をビビらせて被害弁済させ、
処罰感情を和らげさせて不起訴の材料としたい」というようなケースも
相当数あるんじゃないかと思っています。

今までで一番ひどかったのでは、
担当の副検事から
公判請求は確実。よくて執行猶予、
悪くすれば実刑判決も視野に入れて…」と言われてたのに、
蓋を開けたら公判請求どころか略式起訴もされず、
起訴猶予となったというケース(もともと被害者の側に重大な過失が見込まれた事案でした。)。

あくまでも個人的な意見ですけど、
検察官って何か言うと
「~○○を視野に入れて~」っていう表現を好んで使うっていう印象があります。
「自動車運転過失致死 ~実刑も視野に入れて~」
って書くとなんかフランス料理のメニューみたいですよね。
ただ、この「視野」ってずいぶんと広いみたいです。

基本的に検察官は正義の味方だと思っているのですが、
思わせぶりな態度もほどほどにして欲しいものです。

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裁判員にご注意を!

こんにちは。
裁判員裁判はまだ経験したことがないのに、
地裁ロビーと弁護士会ロビーのPRビデオで
裁判員制度の理念だけには詳しいと自負している
弁護士中村です。

新聞等でも報道されているように
東京地裁立川支部での強盗致傷被告事件の裁判員裁判で、
弁護人が法廷の外で担当裁判員と言葉を交わしていたこと
問題になっているようです。

報道等で現れている情報だけなので詳しい状況はよくわからないのですが、
公判の休憩中に、
裁判所の喫煙室で喫煙していた裁判員に対し、
弁護人が評議の雰囲気を聞いたというような話らしいです。

裁判員裁判については
裁判員法というのがありまして、
正確には「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」っていうんですが、
その102条1項に以下のような定めがあります。

「何人(なんぴと)も、被告事件に関し、
当該被告事件を取り扱う裁判所に選任され、
又は選定された裁判員若しくは補充裁判員又は
選任予定裁判員に接触してはならない。


これも裁判員の職権行使の独立(裁判員法8条)だとか
評議の秘密(同法9条2項)だとかを保護するために
必要なルールなんでしょうね。

通常、裁判員に選任された人には、
必ず「誰に対しても評議の内容を漏らしてはいけませんよ」と
最初にきついお達しがあるはず。
でも、弁護人としては裁判員法まで見てなかったのかもしれませんね。
それか本気でその事件の見込みを聞き出そうとしたものか。

裁判員裁判という単語を聞くと
決まって「山本山」を思い出してしまうのは
なにも私だけではないと思いますが、
結局、報道されたケースでは「裁判の公正さを失わせる行為はなかった」として
裁判員の交代もなく懲役9年の判決言い渡しがなされたとのこと。
しかし、地裁が東弁に再発防止の申し入れを行うという異例の事態に発展したようです。

裁判員裁判でなくても、
証拠調べ期日の休憩時間に相手方当事者などと
裁判所の廊下や待合室で顔を合わせたときに
ちょっと気まずい感じになることは誰でもあるはず。

裁判員とも別にトイレや喫煙所が分かれてるわけじゃないから、
裁判員裁判の際は注意する必要がありますね。

トイレなんかで会ったときも、
裁判員の方を気遣って掛けた言葉が、
「被告事件に関して評議の内容に探りを入れている」
受け取られてしまう危険性もあるわけだ。

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よい子はそこんところ気をつけよう!

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弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。自宅マンションに鳩が来るのが悩みです。

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