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尋問における異議のあり方

証拠調べの花形といえば尋問ですが、
異議の出し方や出されたときの対応の仕方については
頭に叩き込んでおく必要があろうかと思うので、
知識を整理するためにまとめておきます。

1 異議の出し方

当事者は、相手方の質問の仕方などに問題がある場合、
異議を出してその質問を制限するよう求めることができます(民訴規則117条1項)。

で、具体的にどのような質問が異議事由に当たるかですが、
これは、民訴規則の115条2項各号に列挙されています。

1.証人を侮辱し、又は困惑させる質問
ex)「信号機ってわかりますか?赤と黄色と青に光るやつ。」
2.誘導質問
ex)「あなたは30km/hで走ってたのに右の道路から
  信号無視の被告車が50km/hくらいで飛び出してきて、
  ブレーキを踏んだけど間に合わずに当たってしまったのですか?」
3.既にした質問と重複する質問
ex)「あなたが見たとき信号は何色だったの?」
 「さっき、『信号は青だった』って言ってたけど本当?」
 「もう一度聞くけど、信号は本当に青だったの?」
 「じゃ、整理しようか。信号は何色だったの?」
4.争点に関係のない質問
ex)「じゃ、あなたが今まで車に乗ってて
  一番楽しかった思い出を聞かせてくれる?」
5.意見の陳述を求める質問
ex)「男子なのにAT車限定の原告についてどう思う?」
6.証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
ex)「これは僕の友達の友達が体験した実話なんだけどね…」

これらの異議事由が頭の中でちゃんと整理されていないと
流れの速い尋問手続の中で、
とっさに適切な異議を出すことが難しくなってしまいます。

なお、異議の重要性から
「とりあえず異議出して質問止めて、
後からどの異議事由に当たるか考えたらええんや」

という実務家もいます(中村の民弁教官もそうでした。)。
ただ、これも異議事由が頭の中にあるからできることで、
「異議の理由は?」と裁判官から聞かれて
スッと出てこないようでは、いかにもカッコ悪い。

ちなみに、1号以外の異議事由については
「正当な理由がある場合」にはしてもよいとされており(規則115条2項柱書)、
実際には異議が出されない場合も多いように感じます。

例えば、主尋問では原則、誘導尋問は不相当なのですが、
陳述書を出しているにも関わらず、
「陳述書ではこれこれこう書いているけど間違いない?」
的な尋問を延々とする弁護士というのがどこの会にもいます。

そういう場合「つまんねー尋問してんなぁ」とは思いつつも、
いちいち異議を出すということはしない人の方が多いんじゃないかと。
異議出すと却って時間浪費するし、
逐語調書や録反なら「この人、誘導ばっかりでした」ってことが調書上明確に残るからね。

ただ、異議の本来的な趣旨からは外れるけど、
実務家としてどうしても異議を
出さないといけない3つのケース
というのがあって
これは覚えておいて損はありません。
1 依頼者がパニックに陥ってるなど相手の質問の流れを止める必要があるとき
2 相手の尋問がダルくて裁判官が寝そうなとき
3 女子大生、女子のロー生が傍聴に来てるとき

ただ、裁判官が話に聞き入ってるときに
それを邪魔するような異議を連発するというのは逆効果なので、
異議を出すか出さないかも裁判官の顔色を見ながら
っていうのが中村のスタンスです。

2 異議を出された場合の対応について

逆に、異議を出された場合はどうか?

まず、注意が必要なのは、
相手方の異議に対して自分で直接
「異議の理由は?」と聞き返したり、
「なにしょうもない異議出しとんのや!」などと言い返したり
してはならんということです。
(これは模擬裁判の初期の説明でも必ず言われることですが。)

先に書いたように「異議」は
「裁判所に対して相手方の質問の制限を求める申立」なので
名宛人はあくまでも裁判所です。
なので、異議を出された方は
裁判所から「異議に対する意見は?」と聞かれてから
落ち着いて「異議に理由がないこと」を裁判所に説明すればいいのです。

なお、この点に関して、
修習中、書研(=書記官研修所)教官の方の
講義を聴く機会があったのですが、その教官は
「最近の若手弁護士は、相手から異議が出るとすぐに
質問を撤回してしまうがこれは適切でないことが多い」と言われていました。

これはなぜかというと、
相手方の異議にあって質問を撤回してしまうと、
調書上、その質問自体がなかったことになってしまうので、
非常にもったいないからだと言うことでした。
(逆に、異議に対して理由がないことを述べ
裁判所の決定(民訴規則117条2項)がなされた場合は、
その一連のやりとりが調書上に記録されることになります。)

tekkai.jpg


建前上は異議というものは
「してはならない質問」に対して出されるというものですが(民訴規則115条2項)、
実際は、異議が出される質問というのは
質問自体がイイトコロを突いている(=相手にとって痛い質問である)
ということが少なくありません。
そして、この書研の教官の指摘も
このような「異議が出る質問=いい質問」という視点からなされたものと言えます。

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陳述書のつくりかた

事実関係に争いがある事件で
関係者の陳述書を作成する機会は多いと思いますが、
その作り方や陳述書というモノに対する
考え方は弁護士によって結構様々な気がします。

「『陳述』書なんだから、
本人の言ったことをそのまま文字に起こして出せばいいではないか」
という意見もあるかもしれません(事実そういう陳述書もよく見ます。)。

ただ、当事者の説明や記憶には
思い違いや曖昧な部分があることの方が多いですし、
必ずしも必要な説明が十分に尽くされていないということも
少なくありません。
そういう部分を陳述書に残したままにすると、
必ずといっていいほど反対尋問で突かれてしまい
主張全体の信用性が揺らいでしまうということもあります。

なので、やはり私としては、
一旦文章の形にまとめた上で
ほかの客観的証拠や事実経過との摺り合わせを充分にして
矛盾点を無くしておく必要があるんじゃないかと思っています。
これは、いわば反対尋問のテストを
陳述書作成段階でしておくというものなので、
陳述書の趣旨自体を失わせるものでは無いと思っています。


ただ、ここに弁護士の意図や方針が入りすぎると
途端に陳述書の「鮮度」が落ちてしまうように思います。

ときどき、
陳述者の理解の程度やキャラクターに合わない
「明らかに作られた文章」の陳述書が出てきて、
弁準の場が変な空気になることがあります。

chinjutsu01.jpg

普通、一般の人って、
話し言葉でも文章でも
「当該」とか「本件」とか「とすれば」とか
言わないし書かないもんね。
(「けだし」は「たけだしんげん」ってとこで使うけどね。)

また、一般人の陳述書なのに
見出し、小見出しが多用されていたり、
難解な専門用語、法律用語がちりばめられていたりすると
どうしても弁護士の作為が見え隠れしてしまいます。
(中村も弁護士に成り立てのころ、
師匠に「陳述書で小見出しはおかしいよ」って
言われた記憶があります。)

ひどいときになると
準備書面の事実記載部分の語尾を丁寧語調に
直しただけというものもあったりするのですが、
逆にこのレベルになると
準備書面と見比べて間違い探しをするという新たな楽しみが生まれます。

こういう、やっつけ感丸出しの陳述書
言ってしまえば弁護士が好き勝手に作った作文でしかないので、
信用性は相当程度低くなってしまうと思います。

sakubun.jpg

その分、尋問のときには
弁護士の作文の陳述書を引き合いに出して、
「陳述した」人に徹底的に突っ込みを入れることが出来るので
相手方としては攻めやすくはあるのですが。
(そういうときのむこうの代理人の表情はある意味見物です。)


こういうと身も蓋も無い感じですが、
裁判所は気安く「出せ出せ」とは言うくせに
陳述書自体の証明力というものは
そんなに重視していないんじゃないかとよく思います。
(特に判決が出たときとかによく思います。)
当事者双方が好き勝手に書いてる内容だとどっちも客観性ないもんね。
中村が修習していた庁では
当事者の陳述書を一切証拠として採用しないという民事の裁判官もおられました。

ただ、ほかの証拠や常識、経験則に照らして
明らかにおかしかったり不自然だったりする内容の陳述書だと、
主張自体の信用性を減じさせる働きがあるので、
そういう「踏み絵」的な意味では陳述書にも一定の意味があるのかなと思います。

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キモ過ぎること山のごとし

基本的に甘いマスクで売ってるんですが、
仕事上、どうしてもキモイ顔をしないといけないときってあるよね?

このあいだも、
事件の関係で風俗街にある店舗に行かないといけなかったんですが、
そういうとき、知り合いに会うと気まずいので
とっさに表情作りますやんか?

kimoikao.jpg

そういうときって誰でもあるでしょう?
あるって言ってよ。

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プロフィール

弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。当職が出資したクラウドファンディングはたいてい頓挫します。

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