人工知能

「10年後には機械・AIに取って
代わられる仕事はなにか」

なんてことを
最近よく耳にするようになりました。


小売販売員とかセールスマンとかが
よく例にあがってるけど、
実際にはどうなんでしょうね。


自分はといえば、
お店で品物を選ぶときの
店員さんとのちょっとした会話も
結構楽しんじゃう方
かというとそんなことはなくて、
むしろ極度の人見知りで
ほぼAmazonでしか物買わないんで
よく考えたら
あまり影響はなさそうです。

さらに言えば、
たとえロボットでも
店員さんと話すのは面倒です。



そして、
こんなことを考えているとき、
私の中では
消えて失くなる職業
「弁護士」はハナから
入っていない
わけですよ。


少なくともあと15年くらいは
弁護士業がマシンに取って代わられる
なんてことはありえないし、
それだけは絶対にあってはならないことです。
(これには私の住宅ローン残という
深刻な問題が影を落としています。)

と言ってみたものの、
果たして今の我々は
そんなに安穏と構えていられる
状況なのでしょうか?





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基本的に弁護士の仕事というのは、
交通事故や過払金請求みたいな
かなり定型的な性格の強い事件でも、
必ずどこかで個別の対応が必要になります。

同じ5万の物損の事件でも、
依頼者が妙に神経質だったり
相手方代理人が
山から降りてきたタヌキみたいに
気性が激しかったりと
いろいろあるものです。

でも、人間相手の仕事って
どれもそんなもんだと思う。


とはいえ、
処理実績の蓄積とデータ化、共有化が実現され、
推論能力のバカ高いアルゴリズムが開発されれば、
弁護士業務、
特に訴訟関連業務の少なくない部分を
AIで代替することは
可能なんじゃないかと思えてきます。


どういう状況で?


例えば、相談者からの
事情の聞き取り
です。


マシンが会話形式で
人語を聞き取っていくのは
まだまだ難しいかもしれません。

ですが、
高度に正規化された事例のデータベースと
インターフェースの整備で、
AIが過去の類例から問題になりそうな要素を
拾い出して質問を自動生成し、
それを相談者に投げかけて
情報を集めていくという、
それくらいのことは
できるようになるよね。


それを一定のルールでまとめて
任意のデータ形式に保存したり
出力したりが
自動でできるようになれば
弁護士にとっては
大幅な負担軽減になります。





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また弁護士業務の重要なファクターとして
複数の事実や証拠を関連づけて
評価する
というものがあります。


例えば、
甲1の銀取基本契約書と
乙3の印鑑証明書の印影の異同、
被害者の救命可能性と
経時的な血中酸素濃度低下の数値変化、
嫁さんのエグい下着の増加と
夫婦生活の減少などなど。

一つ一つをみると
それぞれ全く別個に存在しているように見える
事象の間の関連性に着目し、
そこに何らかの意味や法則を見いだすわけね。

それらの知的作業の積み重ねこそが
弁護士業務だとも言えるのですが、
そういった、
従来は人の経験則に頼っていた領域の問題も
アーティフィシャルなインテリジェンスの
もっとも得意とするところです(適当)。



進化に進化を重ねたAIは
人智を超えた洞察力と
持ち前の明るさで
相談者や依頼者の
進むべき道を指し示してくれる
ようになるかもしれません。

細かい事故態様ごとに
過失割合の判断例を表示してくれる
判例検索サービスなんかは既にありますが、
それとは全く次元の異なる問題です。



kubocom.png




ただ、AIも判断を誤ることはあって、
知らず知らずのうちに
結構な地獄に誘導されてる恐れもあるから
常にその判断の適否を検証する姿勢が
われわれヒューマンビーイングには必要です。




おそらく、ここまで読まれた方で
「こいつAIのこと何もわかってねぇな」
とお感じの向きもあるでしょうが、
私は人工知能が出てくる話を
マンガとかで
読んだことがあるので

かなりの知識はあると思います。






さて、
ここまでは、あくまでも
「弁護士業務の補助」的な役割のハナシで、
AIが弁護士に取って代わるという
ある種オカルトじみたものではありませんでした。


ところが
さらなる技術革新によって、
全弁護士のうち
3分の1くらいの人(私を含む)がやっているような
「より高度な法的判断や処理」
AIが担うようになってきます。


そうなると、その先に見えてくるのは?


そう、「弁護士ロボット」の台頭ですね。






machine01.png




相談業務や起案だけじゃなく
相手方との交渉や尋問、
適切な法的手続の選択と実行、
開始決定の封入・投函や
事務所の戸締りなどを
弁護士ロボットがするようになったとき、
弁護士業務の概念は一変するでしょう。


弁護士ロボットとの共同受任で
事件処理も捗りそうです。

















ところが、ここでも
忘れてはならないことは
そういった
我々の産み出したマシンが
我々自身の脅威となる危険がある

という点です。





machine02.png


そう聞いて笑っていられるのは
今だけかもしれません。



タイトルは忘れましたが、
自我に目覚めたコンピュータが
人類に戦争を仕掛けてくるという
恐ろしい映画を見たことがあります。
(敵が味方になったり、
味方が敵になったり、
3とか4が全くなかったことにされたり
いろいろ怖い映画でした。)



ここらでそろそろ、
能力の控えめな弁護士が
弁護士ロボットに駆逐され、
市場から退場させられるケースが
出てくるかもしれませんね。


ともあれ、
実務能力を兼ね備えた
弁護士ロボットの登場による
裁判実務の変容は、
今回のエントリ的に
不可避の流れです。


そこではどのような裁判が
繰り広げられるのでしょうか?




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こんな感じで、
優秀な弁護士ロボットを
導入・運用している事務所が
業界内で競争優位を獲得でき、
次第にロボットのスペックレースに
突入していくだろうというのは
容易に想像がつくところです。





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いかがでしたでしょうか?













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そう…、言いたかったのは
生身の人間が処理に当たることによって
生まれる「感銘力」や、
人間の持つ非合理性こそが、
弁護士業務の重要な根幹にあるのではないか
ということなのです。


例えば、
「一日履行を遅滞したら
元金にその0.038パーセントの延損が乗る」
というのと、
「これこれこういう事情が存する場合には
借家契約更新拒絶の正当の事由ありと判断される
可能性が高い」
というのとでは、
与えられた条件や結果の複雑さは違うけれど、
結局はパラメータの数が違うだけで、
どちらの場合も
AIによる推論・判断や処理も不可能ではない、と思います。


だけれども、
結局、弁護士業務の処理結果を受け止め
評価するのは人間であって、
その人間に非合理性はつきものです。

例えば、
絶対に勝って大きな経済的利益が得られる事件を
感情的な問題から取り下げたり、
逆に、
相手方のふとした態度や視線がトリガーになって
勝てるけれども利の薄い訴訟に及んでしまったり
というように、相談者や依頼者が
一見して非合理的だと思われる行動を取ることっていうのは
実はそれほど珍しいことではありません。


そういった、定量的・客観的な評価がしにくいところで
相談者と弁護士との信頼関係が生まれたり壊れたり、
あるいは、依頼者が心を打たれて
和解に一歩踏み出したりという
エピソードが生まれてくるのが
弁護士業務であり、裁判業務だと思います。


実は、ここには
弁護士業務のありようについての
根本的な問いかけが含まれているように
思われてなりません。


それでも突き詰めていけば
依頼人の感情の流れとか
非合理的な帰結をたどった事件の事案とか、
さらには、いろんな場面での相談者・依頼人の表情・声色
態度なんかのすべてを数値化・条件化して
AIの判断要素に取り込むということも
理論的には可能なのかもしれません。

しかし、そこまでするんであれば
いよいよ人間が弁護士をする方が
コストが安くなってきそうです。




何より、弁護士業務の成果を受け止めるのは
結局は依頼者や相談者、相手方といった
生身の人間ですから、
そういった受け手の側の意識が根元から変わらない限り
AIで弁護士業務を代替することはできないのではないか
というのが私がたどり着いた結論です。


弁護士が利幅の少ない事件でも
自分のために精一杯頑張ってくれてるからこそ
依頼者も示談にも応じてみようという気になるわけです。
また、依頼者を近くで見て
いろいろな有利な事情、不利な情報も得た上で
出してきた陳述書だからこそ
裁判所もある程度の迫真性と臨場感を
そこに読み取ることができるわけでしょ?

違う?


僕、間違ったこと言うてる?













と、そんなわけで
当面、弁護士業務がAIやマシンに
取って代わられるという心配は
なさそうな気がします。

いまや押しも押されもせぬ
スマホ奴隷の私が
ここまで言うんだから間違いない。



住宅ローンも安心やで。



ただ残念なのは、
「10年後も弁護士続けてたいか?」って
訊ねられて
はっきり答えられない
という今の状況ね。









とりあえず、
起案してくれる機械ぐらいは
そろそろ出てきてもらっても
ええ頃やと思います。











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プロフィール

弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。自宅マンションに鳩が来るのが悩みです。

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