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「第1準備書面」はひとつでいい

こんにちは。


爪を隠したら
出てこなくなった
能ある鷹、
弁護士中村真です。



神戸ではルミナリエが始まりました。
皆さんの廻りでは
何が始まりましたか?




今回は、前からずっと
気になっていたことを
取り上げたいと思います。

それは
準備書面の表題の付け方です。


最初に確認しておきますが、
準備書面の
表題の付け方に関する
法令の定めや
様式化されたルールはありません。



厳密には、表題自体、
民事訴訟法上定められた
必要的記載事項ではありません
(民訴法161条2項)。
書いてないと
それが民訴法161条1項の
「書面」であることが
わかんないから
書いてるわけです。


だからその
表題の通し番号
にいたってはなおさら法令上、
記載が要求されるもの
ではありません。




その上で、このような
事実上のルールを
どのように考えるか
というお話です。



さて…、





01_20181207163257de6.png





お尻に書く方というと、
「準備書面1」みたいに
括弧なしで書く人もたまにいます。
ただ、この書き方は
番号の視認性が劣るので
私自身はあまり好きではありません。



正直、準備書面で
「第1~」、「~(1)」という
複数の表題の書き方が
用いられている理由(わけ)や、
書面の表題を付ける意味について
今まで考えたことがないし、
今後も深く考える予定はない、
正直どうでもいいという方には、
以下のお話は理解が
難しいかもしれません。







ここからが本題ですが、
代理人として意気揚々と
訴訟追行していて
たまに参ったなと思う場面があります






02_20181207163259eba.png





こう書くと、
「弁護士中村真は訴訟していて
参ったなと思うのはその程度か」
と誤解を招きそうですが、
実際今までで一番
参ったときのことは
とてもここには書けません。





話を元に戻しましょう。



民事訴訟では
準備書面が双方から
複数出るのが通例なので、
できる限り、
準備書面のタイトルで
どの書面か特定できた方がいい

と思うのです。



つまり、書面の表題は
その書面の訴訟手続上の属性
(主張書面なのか、証拠なのか、
証拠説明書なのか、上申書なのか、
それとも、本腰入れて
読む必要のない
どうでもいい書面なのか
等)
を表すだけのものではありません。


特に、同じ当事者から複数回
提出されることが予定されている
準備書面の場合、
その表題は、
個々の書面を特定するための、
また誰がどの時点で提出したかを
特定するための
識別子となるべきものです。



ときどきどの準備書面も
単に「準備書面」とだけ
表題を書いて

出してくる人がいますが、
認否・反論のときに相手の書面を
特定しようとすると、
「平成●●年●●月●●日付準備書面」って
書かないといけなくて、
これ自体ものすごくムダです。







syomentokutei




表題にわずか数文字を加えるだけ
そこで表せる情報量が
飛躍的に増える上、
何らのデメリットもないのに、
それをしないというのは
正気の沙汰良いやり方
ではありません。



そういう書面を出す人の場合、
自分の後の書面で
過去の主張を引用・指摘するときも、
「既に主張の通り」とだけ書いて
その箇所を特定しないことが多くて、
要するに読む側の視点が欠けている
書面だと思うのですね。





書面に通し番号振るには
毎回、既に出している書面の数を
確認しないといけないわけですが、
それは代理人であれば、本来、
当たり前にやっているはずのことです。





というわけで、
準備書面には
通し番号を振りましょう。

その手間って
微々たるもんですよ。



この点の普及のため
私は
「あしたの準備書面の
表題を考える会」
を設立しました。










で、そうした目で見た場合、
確かに、規則には
なっていないけれども、
実務ではなんとなーく、
準備書面の表題の付け方に
一定したルールがあること

気付くのではないでしょうか。



つまり、
原告の出す書面は「第1~」
被告の出す書面は「~(1)」
といったルールで作られていることが
多いということに。







03_20181207163300a37.png




例えば、
司法研修所や
法科大学院等で用いられている
模擬裁判教材では、
この表題の付け方が
用いられています。


判例雑誌で、必ず
原告をX、被告をYと
記載しているのと同じく、
一般に違和感なく
受け入れられている
やり方です。




04_20181207163302f5b.png





通し番号のような序数は、
漢数字の方がしっくりくる
気もしますが、
とりわけ横書きの準備書面では、
一読した時の読み取りやすさは
アラビア数字には及びません。




0502.png





ところが、この点は、
定められた規則が存在しないためか、
少なくとも書記官さんや裁判官は
あまり関心がないように思われます。
(そんなことより書面を期限までに
ちゃんと出せと思っている。)




裁判所の関心は、
その書面が陳述された日時、
認否落ちがないか、
甲乙丙号証の割り振り・区別
といった点に向きがちです。

準備書面の表題を
裁判所が指定できるわけでも
ないですしね。


で、ここで冒頭の話に
戻るんですが、
通し番号は振るとして、
相手が既に「第1準備書面」
って出してたら、
わざわざ被せるんじゃなくて、
自分の側は「準備書面(1)」で
出したらよくないかってことです。
(その逆もまた然り。)


ここはお互いの
工夫と配慮
が必要です。





そういえば、
かつて原告と被告で
イメージカラーが存在した
という話を聞いたことは
ありませんか。



「かつて」と言いましたが、
今でも
事務所独自の書面の用紙
(アウトラインとか事務所名が
入ったもの)を用意し、
そのフォーマット部分の印刷色を
原告代理人のときは赤色
被告代理人のときは青色と、
使い分けている事務所が
ありますよね。



駆け出しの頃にボスに
原告は頭に血が上って
カッカ来ているから『赤色』

被告は訴えられて青くなっているから『青色』
だと教えられた記憶があります。
由来はともかく、
なんとなく「そうなのかな」と
思えなくもない話ではないですか。


そうなると、
裁判所は
どちらを選ぶかという
難しい判断を迫られるわけですね。






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ただ、運動会でも
白組にシンパシーを感じる私としては、
原告が赤色というのに
何となく違和感を感じてしまいます。






07_201812071633060b9.png




また話が逸れました。
準備書面の表題の話です。


そういったわけで、
準備書面の表題には
一定のルールで通し番号を
付けるというのが
適切だと思うのですが、
それも正しく運用されてこそです。


たまにデータ流用時のミスで、
「第3準備書面を間違って2回出す」
という事態があったりして、
たいてい美人書記官や
小賢しい相手方代理人の指摘で
訂正することになりますが、
それはそれでカッコ悪い話です。


一つ印象に残っているのが、
だいぶ昔の事件でしたが、
「最終準備書面」
というタイトルの書面が
3回出てきたとき
のことです。







saisyu.png





破産で最後配当が
3回もらえるというのであれば
歓迎する人も多いかもしれませんが、
最終準備書面3回は
あまりメリットがありません。





最終準備書面というのは、
本来、証拠調べのあと、結審前に
証拠調べの評価や主張の
まとめを書いて出すものなので、
普通、そこまで長くなることも
内容が多くなることもないはずです。


まあ、それはそれとして、
このケースでは「最終」といいつつ、
それが3回出てきたことに
ぬぐいようのない違和感があったわけです。


慣例上、
「結審前に最後に出す準備書面」を
最終準備書面と呼んでいるだけ
で、
書面のタイトル自体を
律儀に「最終準備書面」と
書く必要はありません。



変に「最終」なんて書くものだから
あとで引っ込みが付かなくなるわけで、
最終準備書面も単純に
それまでの書面の番号に次いで
通し番号で「第5準備書面」、
「準備書面(4)」といった名前で
出せばいいんじゃないかと当職思います。
(第一、控訴する(される)
可能性もあるんだから。)




ちなみに、
私は、ここ数年は控訴審で出す書面は
「控訴人第1準備書面」
「被控訴人準備書面(1)」
といった表題を使うようにしています。

これも若干表題が
重たくなりはするんですが、
そう書いた方が、一審と控訴審の
どちらで出した書面なのかが
わかりやすいからと
考えてのことです。


続審制だからといって、
準備書面の通し番号まで
続けて出さないといけない
というもんでもないかなと。



というわけで、当会は
満を持して
ガイドラインを策定しました。




 guideline



「あしたの準備書面の
表題を考える会」では
随時賛助会員を募集しています。




 ending



ね?
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真の法律家

こんにちわ、
ジャンプ世代
弁護士中村真です。


早速ですが、ここでなぞなぞです。



【問題】
とある日弁連の委員会、
ある弁連所属の委員だけ
毎回欠かさず、また遅刻せずに
出席していました。
さて、どこの弁護士会連合会の
委員だったでしょう?











【こたえ】
近畿弁護士会連合会
(近弁(勤勉)だから)









ところで、民法(債権法)改正
刻一刻と近づいて参りましたね。

法律と言えば改正がつきものですが、
今回はそれに関して
少しばかり私見を述べたいと思うのです。







特に、実務に大きく影響しそうな
改正が見込まれる(あるいは決まった)ときに、
法曹界の一部では、
こういった反応が見られます。







01.png










そういう風につい
ネガティブな受け止め方をしてしまう、
後ろ向きなアナタに
私はこう言いたい。














02.png






要するに、私の言いたいことは
こういうことです。













03_2018120223274271d.png






「改正」というのは、
読んで字のごとく、本来、
「正しく改める」ことを言います。

世の中の法改正の内に
良いものと必ずしもそうでないものが
あることは否定しません。

また、法律の内容それ自体にも
種々の問題や限界があり、
それに異を唱え、良くしていくのも
我々法律家の重要な責務であると思います。


ただ、それとは別の次元で、
法律というのは、
社会・経済情勢や
人の価値観の変化によって
常に変革することが
予定されているものです。


我々法律家としても、
そのような社会の流れや
そのときどきでの
法律のあり様に
常に意識を向けて
いかなければなりません。


法律や法制度に
柔軟に対応できること、
これは真の法律家にとって
最低限必要な素養です。


それは、
法がその形を変えようとする局面、
つまり法改正のシーンでは、
その動きに素早く対応し、
自らの法知識を常に
アップデートし続けられる、
そのような主体的・積極的な
姿勢となって表れます。







なぜそうあるべきか?



これは
それこそが
本当の意味での法律家であり、
真のリーガル・マインドだからだ

としか言えません。






極めて抽象的な話に
なってしまいましたが、
わかりやすく例えると…、






04_2018120223274331c.png






ということです。



錆びて切れ味の落ちた包丁では、
到底、人を感動させる料理など
創ることはできません。



それと同じで、
我々法律家は、
常に自らの法知識を研ぎ澄ませ、
法律家としての
鋭敏な感性を保って
いなければならないのです。






045.png






そこでは、
「法改正で、また知識や法制度を
覚え直さないといけない」

「まためんどくさいことを
してくれたものだ」

といった個々の想いは
全く取るに足りない独善でしかありません。




わかっていただけましたか?

真の法律家の姿というものが。






05_201812022327451e3.png















さて、債権法改正よりも
後から持ち上がったものの、
ものすごいスピードで
決まったものといえば?





そう、
相続法の改正
です。













その、いささか急な
しかも立法事実すら本当に
あるのかないのかよくわからない

相続法改正の話でしたが、
それを最初に聞いたとき、
私はこういう風に感じました。
























07_201812022327462a9.png







言うまでもなく、
私は普通の法律家ですし、
真のリーガルマインドなんていう
よくわからないものは
はなから信じていませんから、
やっぱり、改正内容の良し悪しはともかく、
「マジかよ」って思いますわね、正直。



最初にとある委員会で、
日弁行ってる委員の先生の
報告を受けたとき、
「まためんどくさいことを
してくれるものだ」

とも思いましたね。

正直、一週間くらい思ってました。

「債権法、変わる話が
出とるとこやないか」ってね。

ええかげんにせえよとまで思いましたね。
















私と同じく、改正と聞くと
目に見えて取り乱してしまう、
そんな、ちょっと可愛い
普通の法律家


多分、
全国で28,500人くらいは
いると踏んでるんだけど、

そういう人たちって、
今、何かしなければいけないと
うっすら危機感を感じ始めているけど、
まだ、何から手をつけていいか
よくわかんない、って人が
多いんじゃないでしょうか。








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IMG_3693.jpg






すまない、結局、
本の宣伝なんだ。







ざっと説明すると、
若手士業者(弁護士、司法書士、税理士等)や
修習生、学部生がターゲットの本です。

相続に関する基本的な構造や
勉強していく上で混乱しがちな概念、
制度相互の関係なんかについて、
裁判例(学説も少し)を引用しつつ
わかりやすく説明することを心がけました。

なぜかというと、自分自身、
学生時代~修習生~駆け出しに掛けて
そういう「相続分野特有の紛らわしさ」
「とっつきにくさ」に
手を焼いたからです。


また、皆さんご存じのように
民法上用意されている
制度、ツールであるにも関わらず、
実務ではほとんど利用されないというものが、
相続の分野ではかなりあります。

それらについても、
「なぜ利用されないのか?」という点を
掘り下げて書いているので、
修習生や学生には、相続を
立体的・実務的に理解する
助けになると思います。


もうひとつ、今回の企画では
相続の場面でしばしば見落とされがちな
課税の問題、たとえば
相続税・贈与税やその対策の制度、
譲渡所得と課税の繰り延べがされる場合、
されない場合、手続選択との関係なども
それなりに力を入れて
しっかりと書いています。


あとは、
改正相続法についても
一通り、制度の説明と
想定される使われ方、
使い勝手の良し悪しについて、
すこしの推測も交えて紹介しています。
手っ取り早く改正の概要を押さえたい
(けれども、今、学者さんの本や
改正要綱の資料を
一から追うだけの時間がない)
という人にもお勧めです。









といっても、抽象的でわかりにくいので、
一応、目次を(手打ちで)以下に
紹介しておきますね。


第1章 相続開始前の道
 ①まずは全体のイメージを
  ・そもそも相続ってなに?
  ・相続問題を捉える視点の大切さ
  ・遺言相続と法定相続
 ②被相続人が決める相続のカタチ[遺言相続]
  ・遺言、遺贈とは何か?
  ・遺言の類型と選択
  ・正しい遺言の作り方
  ・包括遺贈と特定遺贈
 ③生前贈与、死因贈与という選択肢
  ・生前贈与、死因贈与とは
  ・遺留分減殺の順序
 ④何もしないという選択肢
  ・遺言相続の難しさ
  ・法定相続の問題となる場面
  ・「何もしない」ことが選択肢として存在する
 ⑤相続にまつわる税務あれこれ
  ・相続開始前の段階
  ・相続開始後の段階

第2章 相続開始後の道[法定相続編]
 ①相続道の全体図
  ・どんなとき相続が始まるか
  ・誰が相続人か
  ・何が相続されるのか
  ・どのように相続されるのか
 ②正しい共同相続
  ・何を分割するのか
  ・分割の対象とならないもの
  ・分割の仕方
  ・相続分あげます
 ③どうやって資産を移すのか
 ④相続財産の清算
  ・債務があるが資産はほしい
  ・利用されない財産分離
  ・相続人がいない!

第3章 相続開始後の道[遺言相続編]
 ① 遺言執行者との良好な付き合い方
  ・遺言執行者が出てくる場合
  ・いったい誰が遺言執行者になるの?
  ・人はどうやって遺言執行者になるの?
  ・遺言執行者の権利と義務
  ・遺言執行者とどう付き合うべきか
 ②相続権を害する遺言がたどる道
  ・どうやって守られるか
  ・どうやって守るか
 ③「相続させる」旨の遺言の考え方
 ④どうやって資産を移すのか

付録 民法改正が"相続法〟にも
  ・遺留分制度の全面的な改定
  ・配偶者居住権(短期・長期)の新設
  ・自筆証書遺言が少しだけ簡単に!
   法務局保管制度始まる。
  ・長期婚姻夫婦での不動産贈与に
   持戻し免除の意思表示を推定
  ・相続で取得した財産でも法定相続分を超える部分は
   対抗要件具備が必要
  ・遺産分割前の遺産処分について
  ・相続人以外の親族に認められる金銭請求権、
   「特別寄与料」
  ・遺言執行者の権限の明確化
  ・遺産分割前でも預貯金が使える!?
   仮払制度の新設



流れの関係上、相続の清算を
法定相続の中で説明するなど、
少し工夫(苦労)した部分はあります。


ちなみに、
グズグズしている内に、
発刊予定から1年以上遅れて、
改正相続法に対応
せざるを得なくなった

っていういわく付きの一冊です。









09_201812022327496f5.png










プロフィール

弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。当職が出資したクラウドファンディングはたいてい頓挫します。

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