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陳述書のつくりかた

事実関係に争いがある事件で
関係者の陳述書を作成する機会は多いと思いますが、
その作り方や陳述書というモノに対する
考え方は弁護士によって結構様々な気がします。

「『陳述』書なんだから、
本人の言ったことをそのまま文字に起こして出せばいいではないか」
という意見もあるかもしれません(事実そういう陳述書もよく見ます。)。

ただ、当事者の説明や記憶には
思い違いや曖昧な部分があることの方が多いですし、
必ずしも必要な説明が十分に尽くされていないということも
少なくありません。
そういう部分を陳述書に残したままにすると、
必ずといっていいほど反対尋問で突かれてしまい
主張全体の信用性が揺らいでしまうということもあります。

なので、やはり私としては、
一旦文章の形にまとめた上で
ほかの客観的証拠や事実経過との摺り合わせを充分にして
矛盾点を無くしておく必要があるんじゃないかと思っています。
これは、いわば反対尋問のテストを
陳述書作成段階でしておくというものなので、
陳述書の趣旨自体を失わせるものでは無いと思っています。


ただ、ここに弁護士の意図や方針が入りすぎると
途端に陳述書の「鮮度」が落ちてしまうように思います。

ときどき、
陳述者の理解の程度やキャラクターに合わない
「明らかに作られた文章」の陳述書が出てきて、
弁準の場が変な空気になることがあります。

chinjutsu01.jpg

普通、一般の人って、
話し言葉でも文章でも
「当該」とか「本件」とか「とすれば」とか
言わないし書かないもんね。
(「けだし」は「たけだしんげん」ってとこで使うけどね。)

また、一般人の陳述書なのに
見出し、小見出しが多用されていたり、
難解な専門用語、法律用語がちりばめられていたりすると
どうしても弁護士の作為が見え隠れしてしまいます。
(中村も弁護士に成り立てのころ、
師匠に「陳述書で小見出しはおかしいよ」って
言われた記憶があります。)

ひどいときになると
準備書面の事実記載部分の語尾を丁寧語調に
直しただけというものもあったりするのですが、
逆にこのレベルになると
準備書面と見比べて間違い探しをするという新たな楽しみが生まれます。

こういう、やっつけ感丸出しの陳述書
言ってしまえば弁護士が好き勝手に作った作文でしかないので、
信用性は相当程度低くなってしまうと思います。

sakubun.jpg

その分、尋問のときには
弁護士の作文の陳述書を引き合いに出して、
「陳述した」人に徹底的に突っ込みを入れることが出来るので
相手方としては攻めやすくはあるのですが。
(そういうときのむこうの代理人の表情はある意味見物です。)


こういうと身も蓋も無い感じですが、
裁判所は気安く「出せ出せ」とは言うくせに
陳述書自体の証明力というものは
そんなに重視していないんじゃないかとよく思います。
(特に判決が出たときとかによく思います。)
当事者双方が好き勝手に書いてる内容だとどっちも客観性ないもんね。
中村が修習していた庁では
当事者の陳述書を一切証拠として採用しないという民事の裁判官もおられました。

ただ、ほかの証拠や常識、経験則に照らして
明らかにおかしかったり不自然だったりする内容の陳述書だと、
主張自体の信用性を減じさせる働きがあるので、
そういう「踏み絵」的な意味では陳述書にも一定の意味があるのかなと思います。

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テーマ : 弁護士の仕事
ジャンル : 就職・お仕事

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この記事の挿し絵は、いつ読んでも笑ってしまいます(笑)

Re: タイトルなし

> この記事の挿し絵は、いつ読んでも笑ってしまいます(笑)
ありがとうございますw
実際、上の絵のような陳述書はよく出てきます。
この柄でTシャツにして弁会で配ろうかな…。有料で。
プロフィール

弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。当職が出資したクラウドファンディングはたいてい頓挫します。

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