リーガル死語

今回は、新聞や雑誌などでも
最近目にすることの多くなった
「リーガル死語」という問題についてです。


このあいだ、
家族と話しておりましてね。
ある場面で、話が通じなくて
しばし戸惑ったのです。


rinse.png





リンスはリンスですよ。





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なんでも今の若い人は、
「リンス」って言葉を
使わないみたいなんですね。

じゃあ、「シャンプーのあとに
髪につけてサラサラにするの」を
なんて言うのかっていうと、
ヘアコンディショナーだとか、
トリートメントだとかいうらしいです。
めんどくさっ。

実際、容器をみても
「リンス」とは書いてないもんね。
(実際にはこれらは若干違うみたいですが、
私のようなおっさんにはさほど重要ではありません。)





ここで、
「前に似たようなことがあったよなぁ」と、
あることを思い出しちゃった私。


以前、新試験組の若手の弁護士さんたちと
食事していたときのことでした。

私は引っ込み思案ななりに、
若手の先生方との交流は
できるだけ積極的に持つようにしています。
台頭してくる有能な若い芽を
早いうちに摘んでおくのも上の大切な役目だからね。



gap01.png





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「口述プロパーの知識("KOUJYUTSU-proper no CHISHIKI")」
っていうのは、ここでは
「(旧試の)口述試験だけで問われるような
やや細かい特殊な知識」位の意味に受け取っといてください。
(今後あなたの人生に役に立つことはおそらく無い言葉なので。)


自分の論文試験合格をハナから想定していないという
私のような種類の人間にとっては、
論文の合格発表から本試験までの
わずか2週間程度の間に
この「口述プロパー」対策をとらないといけず、
それなりにハードだった記憶です。


ところが、聞くところによると、
新司法試験では口述試験ていうのを
もう行っていないそうなのです。
(希望する人にはまだやってるんだったかな?
よくわからないけど。)

だから「口述プロパー」っていうのも
若い人にはピンと来なかったんでしょう。


そりゃそうだよね。


私も飲み会の席で
受けたこともない高等文官試験の話されても
ちょっと盛り上がれる自信ないですし。



結局、法律も法制度もナマモノなので、
制度や運用が変わったり、
それに変わる新しい言葉が出てきたりしたことで
「消えていった言葉」、
「使われなくなった言葉」っていうのは
それなりに出てきちゃうよね。


もう一つ、私が記憶に残っているのは、
平成16年の破産法改正のあと、
破産係の書記官さんと話しているときに
「常置代理人」と口走ってしまい、
「管財人代理」だと必要以上に丁寧に訂正頂いたときのことです。



jyouchi.png



思い返せば、弁護士生活も2年近くになり、
裁判所が戦場だっていう意識が
少し薄れ掛かっていたときの痛い失敗でございました。


ちなみに、旧破産法の法文上(165条)は
「常置代理人」って書いてたわけではなく、
あと、旧法下でも常置代理人のことを
「管財人代理」って呼ぶことはあったみたいだね。
今となっては
「コンディショナーとトリートメントの違い」くらいに
どうでもいいことだけど。


やっぱり言葉で仕事してる以上、
こういう用語の移り変わりにも
正しく対応していかなきゃね。


desyo.png






houdou02.png




ほかにもいろいろあるよ。
(競売の)最低売却価額→売却基準価額とか、
営業譲渡→事業譲渡とかね。

と調子よく書いてたら、
「営業譲渡はまだ死語じゃないよ」っていう
コメントを複数頂いておりました。

(会社を除く)商人間での譲渡の場合について定めた
商法16条、17条の営業譲渡の定めが生きてるので、
今でも譲渡の態様によっては「営業譲渡」って呼ぶことがあるからだそうな。

erimaki.png





あと、若手が若手がって書いているけど、
実際には自分もまだ若手だと思ってるからね。



たかだか弁護士歴10年ちょっとの
私のような世代(黄金の56期)でもそうなんだから、
上の期の先生だとこういうのは
もっとたくさん経験されてることでしょうね。



ritsuryou.png



ここで今回の債権法大改正に思い至ったあなたは
一級のリーガルマインドの持ち主です。

ソフトもハードも大きく揺れ動くこの法曹界という大海の中で
変化という荒波を前に、
若手の皆さんは今何を思うのでしょうか。
(何がソフトで、何がハードかは聞かないでね。
あんまり考えずに書いてるから。)


司法の分野に限らず、
こういう死語を考えてみるのも
楽しいかもしれませんね。



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それではまた。




























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No title

ミリバールは、ミリバールだ。

民再の監督委員の場合

破産法や会社更生法では管財人代理という用語が明記されましたが、民事再生法上の監督委員の場合は監督委員代理という用語がないので、今でも「(監督委員)常置代理人」と言ったりしますね。

そういう意味では、常置代理人は完全な死語ではないのかもしれません。

確かに

あはは、確かに破産宣告はまだ間違って言ってまうな。

法律用語ではないでずが

「チョッキを掛ける衣紋掛けない?」
といって、嫁に爆笑されました。

嫁の方が年上なのに。

営業譲渡はリーガル死後ではありません。確かに商法はクリーンナップから代打になりましたが、まだ実務上は一定の役割を持っています。なお小職も都内某所でしこたま飲んだ帰路のe電からコメントしてますので、間違えたかな?

衒学趣味

抵当権消滅請求より滌除の方が良かったなーと思います。
なんかかっこいいですし。
偶然ノ輸贏とか。
こうして古の記憶は埋もれて行くのです

No title

いつも楽しく読ませていただいております。
某ロースクールでも
「(タクシーの)流し営業」って何?
「匕首」って読めなかったけどたぶんナイフみたいなやつだよね?
という若者が結構いて、おばちゃん学生は日々たじろいでいます(汗)

No title

マコツさん、お久しぶりです。「にいさん」です。(さて、私は誰でしょう?)

さてさて、「営業譲渡」は死語ではありませんよ。法文上、個人商人間の場合は「営業譲渡」と(商法16条、17条)、会社間の場合は「事業譲渡」と使い分けられています。

ちなみに、会社と個人商人との間の譲渡の場合は、
・商人が譲受人のときは「営業譲渡」(会社法24条1項)
・会社が譲受人のときは「事業譲渡」(同条2項)
と使い分けます。

釈迦に説法でしたかな?

Re: No title

にいさん、ご連絡ありがとうございます。
ご指摘の点、確認させて頂き、
エントリに若干追記をさせて頂きました。

(釈迦に説法どころか
正直、商法総則の16条、17条の定めが
現在の実務でも生きているという感覚が
抜け落ちていました…orz)

ところで、「にいさん」って誰なんですか!?
判らないのでもう少しヒントを下さい。。。

Re: No title

ピンと来ました〜( ´∀`)‼︎
プロフィール

弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。自宅マンションに鳩が来るのが悩みです。

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