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弁護士+中小企業診断士【後編】

前回に続いて、
診断士試験がテーマの後編。


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始めてしまった試験勉強と貧乏は
やめようと思っても
そうそう
やめられないものです。
(あと、不倫と横領)

で、経営理論と
情報システムの
科目合格が利用できたので、
翌年(H29)は、一次は
経済、運営、中小の3科目のみ。


負担はかなり小さくなったので、
無事、合格することができました。




3 二次・筆記試験対策

★二次試験の概要

二次試験は筆記と口述がありますが、
口述試験は筆記試験の合格者のみが受けられます。


筆記試験自体の合格率は
受験者(その年と前年の一次試験合格者)のうち
2割ほど。
ここ数年は4,000人くらいが受けて、
800~900人くらいが合格する計算です。


出題形式は、
事例Ⅰ~事例Ⅳの4問構成(各80分)で、
事例Ⅰ~Ⅲは
中小企業に関する長い文章(与件文)を読んで、
各設問(4~5問)に60~160字以内程度で答えるというもので、
旧試や新司法試験の論文試験とは
かなり形式が違っています。



例えば、平成29年度の事例Ⅰ第1問は
「景気低迷の中で、
一度市場から消えた主力商品を
A社が再び人気商品にさせた最大の要因は、
どのような点にあると考えられるか。
100字以内で答えよ。」

という問題でした。


ここ数年の過去問は
一次、二次筆記とも中小企業診断協会のサイト
で公開されています。








★弁護士の強みと弱み


二次の筆記試験はよく
「8割落ちるハードな試験」
って言われるんだけど、
同業者で通った人を見てると
二次筆記試験に関しては
みなそれほど苦労した感じがありません。

私も、受ける前に何人かの
先輩に話を聞かせてもらったんだけど、

「二次の筆記は
なんか一次ほどは心配してなくて、
まあ受かるだろうなと思ってた」
「二次の筆記は常識で書いたら受かる試験だから」
「二次の筆記は問題に答えがそのまま書いてあるから」

という意見が多かったのです。

一次で足踏みした私も、
二次の筆記は1回で合格することができました。


実際に、
過去問と予備校の模範解答を見ても
「これならなんとなく書けそう!」
と思えるんですよね、コレが。




弁護士が二次筆記に強い理由を
考えてみたのですが、
おそらく、
「大量の情報の中から、
必要な要素を抜き出して、
文章の形に構成する」
っていう作業を
それこそ飯食うのと同じくらいに
普段から繰り返していて
そのスキルが磨かれているから
ではないかと思っています。





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二次の筆記試験で要求されるのも
長い与件文の中から、
設問の答えに使える要素を拾い出して、
分かりやすい文章にする
というものなので、
かなり普段の仕事と共通する部分があると
思っています。




これはSWOT分析的にいうと、
診断士試験という市場における、
弁護士の強みであることは
間違いありません。


これがヘタで、
準備書面でも
何言ってるのか
さっぱりわかんない人

ときどきいるけどね。




ただ、強みがある一方、
弁護士の弱みもあります。

それが、財務会計の知識が問われる
事例Ⅳへの対応力の低さ


弁護士受験者のほとんどが
一次試験で財務・会計の
科目免除を受けているので、
一次試験の合格発表後、
初めて二次試験や事例Ⅳの
勉強を始めたという人も多いはず。


この場合、
一次試験の回答発表(8月上旬)後、
二次筆記試験の当日(10月下旬)までに
事例Ⅳに必要な財務・会計の知識を
頭に詰め込んで、
正しい計算結果を導き出せるまでに
ならなければなりません。

コレが結構ハードで、
先輩受験者が口を揃えて
指摘するところでした。




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弁護士のホームグラウンドは
法的問題の処理なので、
経営判断や意思決定会計の
スキルが求められることは
一般的には多くありません。
(俺だけ?違うよね?)


なので、制度会計は
ある程度馴染みがあるし、
税務調査は
受けたことがある
けど、
管理会計の視点や知識はないという人が
弁護士には多いように感じています。
(俺だけ?違うよね?)


その点、私は
日商簿記3級という難関試験
合格していたことが幸いしました。

「利益」と呼ばれるものが5つあって、
BS、PLが何の略か位は
わかってたからね。
これで、数字読めない弁護士を
かなり引き離せてたと思う。





まぁ、みんな通る道なんで、
なんというか、その、
がんばってください。







★二次筆記試験の勉強法


じゃあ二次の筆記試験を
どうやって乗り切るか?



事例ごとに異なってきますが、
私は

事例Ⅰ(組織・人事)→経営のスピテキ+過去問
事例Ⅱ(マーケティング)→経営のスピテキ+過去問
事例Ⅲ(生産管理)→運営のスピテキ+過去問
事例Ⅳ(財務会計)→TACの事例Ⅳ集中特訓+過去問
という形をとりました。


筆記試験でも基本は過去問

ただし、悠長にやってる時間はないので、
「全事例、過去10年分を3回転」とかは
必要ないしあまり意味がありません。





二次の筆記試験は、
①与件を読んで、
②要素を抜き出し、
③考えて、
④並べる
 という
プロセスが問われる試験だと思うので、
少なくとも、事例Ⅰ~Ⅲについては、
一度やって答えを知ってしまった問題に
2回以上取り組むのは
無駄かなと思いました。

また、
これまで出題傾向や形式が
コロッコロ変わっており、
10年前の問題は
試験対策という意味では
あまり参考になりません。


それよりは、
過去5年分を1回ずつきっちり
とやれば良いかなと思います。


また、過去問は本試験と同じように
毎回80分掛けて答案を書くのが理想ですが、
それができない場合、
「与件を読んで、要素を抜き出して、考えて、
書く方向性を走り書きする」というだけでも
十分に有効だと思います。


私も、
過去問は過去5年分に絞り、
全てこの方法で
1題30~45分で答案構成するだけにしました。
これだと、復習も含めて
1題1時間半程度で可能です。



★過去問集の選び方


過去問もこれまた予備校によって
いくつかあるのですが、
是非お勧めしたいのが同友館の
『ふぞろいな合格答案』シリーズ。



これは毎年、
受験者の再現答案
+実際の成績開示をもとにした
詳細な獲得点数分析がなされていて、
それこそがウリなのですが、
なかなかの説得力と納得感があります。


二次・筆記試験で
求められている内容を短期間で掴むのに
これが一番、適していると感じました。


「二次試験は
何が正解かがよくわからない」
「受かった年は、みんなが
書いているようなことを
きちんと書けた年だった」
これも合格した人が
口を揃えて言うことです。

そのためには、
「何を書いたらどれだけの
点数(評価)がもらえたか」
っていう、出口からの分析が
もっとも合理的で説得的です。


TACの過去問題集も買ったのですが、
模範解答がおかしくて洗練されすぎていて
「80分でこんなの書けねぇよ」
と思うようなものばかりだったので、
ほとんど使いませんでした。



★筆記試験のクセを知る



さて、いくら
「常識で書けばそこそこ受かる」とはいえ、
筆記試験はそれなりにクセの強い試験であります。


「どのような課題であると考えられるか」とか
「プロモーションと販売の戦略を説明せよ」とかいった
抽象的なきかれ方が多く、
また、事例ごとにそれなりの「作法」があり、
これを上手く捉えていないと
点数が伸びないという問題があります。



「作法」と書きましたが、
これは弁護士目線では
「作法」であるように見える
という話。

たとえば、
・事例に出てくる経営者の意見・希望は
全て「正しい」という前提で捉える
・事例企業に「破産する」、「廃業を進める」
という選択肢はない
・発想のオリジナリティが試される試験
ではない(与件に書いてあることを使う)
・見えている「エサ」は必ず拾う
というように、
普段の弁護士的な視点や発想とは
若干違った姿勢
での
取り組みが求められます。



このようなクセや作法を身につけるため、
私はTACの二次直前通信講座を
受けることにしました。

これは、事例Ⅰ~事例Ⅳまでの問題演習と
添削・講義がそれぞれ3回
(4事例×3回=全12回)あるという
結構ハードなものだったのですが、
繰り返すうちに、問題要求のとらえ方や
何を答えたら良いのかが
だんだんとわかってきました。


9月のTAC二次公開模試は
31、27、35、20の合計113点と、
家で寝てた方が良かった
と思える点数でしたが、
その後、コツがわかってくると、
問題演習でもだんだん
合格点に近い点数が取れだしました。
(時間がなく、問題演習は
7回目で止まってしまいましたが、
それでも結構役に立ちました。)


出題の字数制限は
60字とか100字が多いけど、
160字っていうちょっと長めのときもあって、
それぞれの文字数感、つまり
「これくらい書いたら100字になる」
っていう感覚を
掴んでおく必要があります。

「だいたい100字を超えるときは
答えに入れる要素は
1つじゃなくて複数になる」
とかですね。

この辺は、過去問とか問題演習やっていたら
自然と身についてくると思いますが。




★ファイナルペーパーについて


二次の筆記試験では、
試験直前に見返すための
「ファイナルペーパー」というものを
作る人が多いようです。

名前のダサさは措くとして、
ケアレスミスをした点や
解答の方向性の確認など、
試験直前に注意喚起しておくべき点などを
まとめたものを作っておくというのは、
それなりに合理的です。

みんな作っていると聞くと
それに引っ張られる私も、
事例ごとに作っていました。



二次筆記ファイナルペーパー



とはいえ、ファイナルペーパーは
作る過程で
自分の頭の中が整理される点にも
大きな意味がある
ので、
自分のアタマの中とリンクしていない
他人の作った成果物だけを見ても
実はあまり参考にはなりません。

他人が履き古したパンツを
履いてるような違和感があります。

私の作ったものも
作り方の一例として
見てもらえると良いかと思います。


平成29年の二次・筆記試験では、
事例Ⅳで連結会計が出題されるなど、
若干面食らいましたが、
結果としてそれなりの点数で
合格することができました。

「それなり」というのは
「ムダのない」程度の意味です。



余談ですが、
二次・筆記試験では
(特に事例Ⅰや事例Ⅲでは)
実在の企業がモデルにされていることが多く、
H29の事例Ⅰは銘菓『ざびえる』で有名な
株式会社ざびえる本舗がモデルではないかと
言われています。

ただ、私はレーズンが苦手なので、
試験後、それを聞いたときも
特に感慨とかはありませんでした。


4 二次・口述試験対策

筆記試験が終わると
口述試験があります。


とはいえ、
そこそこの難関といわれる
二次・筆記試験と対照的に、
診断士の二次・口述試験は
国家試験の中でも
屈指の不合格率の低さを誇ります。

平成29年度では、
口述試験受験者830人中、
不合格になったのは2人です。
(おそらく、棄権とか遅刻とか
逮捕されてたとか、
とにかく、知識や受け答え
以外の原因じゃないかな。
知らんけど。)


一人10~20分程度の時間ですが、
会話さえできれば受かるといわれており、
よほどヤバいのを弾くためだけに
機能している試験だと
ウワサされています。


ただ、面倒なのは
筆記試験で出された事例Ⅰ~Ⅳを
そのまま用いて出題される上、
何も手元で見られないという点です。

「A社の強みはなんですか?」と訊かれたら
頭の中にある
事例Ⅰの与件の内容をもとに
自分の言葉で答えられなければなりません。

そういうわけで、
事例Ⅰ~Ⅳの内容は
ある程度頭に入れておくことになります。



一応、お金を払ってTACの
模擬口述試験を受けたのですが、
3人の試験官役の人から10分間
フルボッコにされた記憶しかありません。
(講評のときはさすがに優しかったですが)


ところが、本試験では
試験官の先生方は優しく、
かなり誘導もしてくれたので、
そこそこ上手く答えられることができました。


この口述試験だけは、
ほとんどの受験生がスーツで来るのですが、
多分私服でも落とされることは
ないんじゃないかと思います。



koujyutsu.png




そんなこんなで、
口述試験も無事合格できました。


簿記3級受かったときより
嬉しかった
ですね。



5 試験を終えてみて


さて、そんなわけで
予定よりちょっぴり長かった
私の診断士受験生活も
終わってしまいました。
今は、本業と並行して実務補習中です。

診断士試験では、
「見える化」や「経営戦略」、
「PDCAサイクル」、「シナジー」といった
企業経営以外の分野で使うと
意識高いとされる用語が頻繁に出てきて、
しかも、その意味を理解し活用できることが
当たり前のように求められます。

こういった用語の使い手に
普段から苦手意識を感じていた私も
今はさほど抵抗感がなくなりました。


また、診断士では
試験で問われる内容が、
その先にある経営診断の実務とも
結構な部分でリンクしています。

「試験で勉強したのに、
実務ではあんまり意味がなかった」
っていう分野
(例えば、司法試験でいうと
終身定期金とか場屋取引とか)が
比較的少ないということです。
(「経済学は実務でいらんよね」
という声はあるようですが…)


弁護士にとっては、
自分がやってる仕事との相乗効果が
発揮できる部分は多く、
間違いなく知識も視点も職域も
広がることに繋がるので、
興味を持った方には
是非お勧めしたい資格です。
(そして、事例Ⅳ対策で
同じように地獄を見て頂きたい。)






startgoal.png





実務補習や診断協会で得たつながりは
弁護士業のチャネルとして有効ということは
よく聞くのですが、
それよりもやっぱり、
初心に戻って、診断士としての仕事を
していきたいなと思っています。




最後に、診断士の勉強をする中で、
感銘を受けた経営学の大家の
言葉をいくつか紹介して終わりたいと思います。






trump01.png





trumo02.png






trumo03.png




この辺の感覚は今でも少し苦手。


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弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。当職が出資したクラウドファンディングはたいてい頓挫します。

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