和解に思うこと

当たり前のことだけど、
訴訟上の和解(民訴法267条)の場合、
控訴とか上告されることがありません。
しかも常時多数の事件を抱え、
少しでも事務処理負担を軽くしたい裁判官にとっては、
この和解というやつは
判決を書かなくていいという
なんとも抗いがたい誘惑を伴います。

しかし、弁護士の側からすると、和解っていうのは
依頼者の説得に非常に神経を使うし、
依頼者が納得しにくい条件の和解をムリに勧めて信頼関係が壊れることもあります。
また、一方的な流れの事件だと、延損や弁護士費用の関係で
判決をもらった方が有利なんていう場合もあります。

そういうわけで、弁護士の場合、
裁判官ほどには和解に向けたインセンティブが働きにくい。
この辺のJとBの温度差が和解の際に思わぬ障害となって
顕在化することも少なくありません。

それぞれの性格にもよりますが、
ひどい人だと、
「判決書きたくねえんだ俺は」という態度を
余り隠そうとしない裁判官もいたりして、
そういう場合は、
「原告100万請求で被告は全額否認やから50万な」的な
ダイナミックな和解案が出てくることも少なくありません。
(民訴法265条1項の「適当な和解条項を定める」を
「適当に和解条項を定める」と読み替えているケース)

wakai01.jpg

で、今までに和解の席で裁判官から言われた不愉快な発言ランキング。
1位 「どうせ、勝訴しても全額は取れんでしょう。よく知らんけど。
2位 「ある意味、原告さんもタナボタ的な面があるわけやから」
3位 「だいたいこのテの事件はこれくらいで和解してもらってます。」

あと、高裁だと地裁よりももっと
「和解で落とさんとどないもならへん!」っていう意識が強いのか、
和解のごり押しはかなり露骨になってきます。
よくあるのが、一審全面勝訴してる側への和解の圧力

一度高裁で左陪席に言われたのが、
「実はここだけの話、事実関係も見直さないといけないかなと思ってます。
それが納得いかなければ上告されるのも結構ですが
上告での逆転勝訴率の低さについては先生も重々ご承知でしょうから…」というもの。
その事案は、原告側だったのですが、
被告が明らかに不合理な弁解ばかりを述べ、
それが客観的証拠にも全く矛盾しているという事案だったため、
一審では全面勝訴していた事件でした。

そのため、和解案には納得は行きませんでしたが、
「このオレに判決を書かせるつもりなら負けさせるよ?」という態度を
隠そうともしない裁判官に依頼者が折れてしまい、
一審認容額の半額程度で和解となりました。
今思えば、左陪席を脅迫罪(刑法222条1項)で告訴すべき事案でした。

そうかと思えば、裁判官の中には、
「依頼者の説得が困難なのであれば次回連れてきてください。
私自身がご説明致します。」
という意欲のある人もいて、
それくらい和解に手間と労力を惜しまず、
理を尽くされる裁判官の場合には和解もスムーズに成立したりします。

余りえらそうなことは言えませんが、
弁護士によって尋問の巧拙があるように、
裁判官にも和解の進め方の巧い・下手があるようによく思います。

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>(民訴法256条1項の「適当な和解条項を定める」を
265条ですね

Re:

あ、ほんまや!
間違ってましたね、訂正しました。
ご指摘ありがとうございます( ´∀`)
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弁護士中村真

Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。自宅マンションに鳩が来るのが悩みです。

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