【役立つ!】附帯請求と予納印紙

訴訟を提起する際に必要なコストのうちで
注意が必要なのが予納印紙

この印紙の予納は、法的には(訴訟手続等の)「手数料」という扱いで、
金額や納付方法等については「民事訴訟費用等に関する法律」
定められています。

この定め方が実は非常にややこしくて、
例えば「訴訟の目的の価額が百万円を超え五百万円までの部分
その価額二十万円までごとに  千円」
とか
なかなか計算がしにくい内容となっています(同法別表第1)。
なので、みんなは訟廷日誌の早見表とか
ウェブ上の計算プログラムとかで計算することが多いんだろうね。

で、例えば、甲が乙に対して貸金返還請求訴訟を提起する際を考えてみる。

残元金が1000万円、
期限の利益喪失日(ないし期限)までの確定約定利息が200万円、
その後平成23年3月31日までの確定損害金(年利14%年365日の日割)
が150万円生じているという場合、
請求の趣旨としては、
「乙は甲に対し、金1350万円及びうち金1000万円に対する
平成23年4月1日から支払済みまで年14パーセント(但し年365日とする日割計算とする。)
の割合による金員を支払え」
という形になります。
ところが、印紙代の額は残元金請求の1000万円部分だけで計算し、
その余の350万円とか将来分の延損請求については訴額に算入しなくていい。

なので、「利息や遅延損害金については
印紙代算定の基礎には含めなくて良い」

っていう風に覚えている人も多いかと思うのですが、
実はこの理解は正確ではありません

いわゆるこの「利息、延損の訴額不算入」は
民事訴訟法9条2項の
「果実、損害賠償、違約金又は費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、
その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない。」
っていう定めに
根拠があります。
利息は法定「果実」、遅延損害金はそのまま「損害賠償」というわけです。

ところが、ここに書いているように、
訴額に算入しなくていいのはこれらの請求が附帯請求の場合のみです。

例えば、金融機関の貸金請求の場合、
稀に「貸付金元金は完済されているけど、
完済までに発生している約定利息、遅延損害金が残ってて
それを訴訟で請求したい」ということがあったりします。
(担保物件売却代金をとりあえず複数ある
貸付残元金に優先して充当した場合など。)

この点、金融機関の損害金利率は結構高いので、
確定損害金だけで数千万円の請求額になるときもありますが、
「損害金は印紙代不要」ってことで甘く考えて訴訟提起すると、
数十万円分の印紙代の予納を求められて慌てるなんてことも考えられます。

まぁ、普通に考えたら、
「利息、延損の請求であれば何千万円請求しても訴訟費用はタダ」なんてことは
あり得ないんですが、意外と盲点になっているところではあります。

あと、理論上、
「残元金請求100円、確定損害金請求5000万円」の場合でも、
形上は損害金請求は附帯請求になってるので、
訴状の印紙代は1000円(訴額100円)で良いことになってしまいます。
(あくまでも理論上ですが。)

そういえば、このカタチ、何かに似ていると思いませんか。

そう、
「知人がオーナーの店に一度招待されて気に入ったので、
次に自分たちだけで行ったら
思わぬ高額請求をされて戸惑った」
というよくある事例に
非常に似通っていることに気付かされます。

futai.jpg


ここでいう知人(オーナー)が元金請求(主たる請求)、
自分たちが利息請求、損害金請求といったところでしょうか。
「タダになるのはオーナーと一緒に行った時だけ」という。

こう考えると訴額算定でも
慌てなくて済みそうです。

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Author:弁護士中村真
神戸の弁護士・中村真(なかむら・まこと)のBLOGです。
かつては複雑な法律問題などをわかりやすい絵で親切に解説しているつもりでしたが、最近はそうでもないです。自宅マンションに鳩が来るのが悩みです。

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